Intel「i4004」誕生から50年という節目となった2021年。今回は、第12世代の「Core」シリーズを中心に、IntelとAMDのプロセッサの分析結果/考察をお伝えする。
2021年、米Intelは製造関連の戦略や技術/製品ロードマップについて、「IDM 2.0」など新しい方針を次々と公表するとともに新製品も発売した。PCなどに使われる「Intel Core」プロセッサでは、2021年3月に第11世代を、同年11月には早くも第12世代を発売した。Coreプロセッサの新製品が発表されるタイミングは、通常は1年に1回である。1年に2回、シリーズ展開を行うことは、ハイエンドコンピュータ向けのプロセッサでは異例のことだ。Intelの新方針に伴う変化(スピードアップ)が見て取れるものになっている。
筆者は長年、半導体業界で開発などに携わってきて、勝敗を決める最大の要因は「早さ」にあるものと思ってきた。失敗を含めて「早く着手し」「早く面を作り」「早く市場投入した」ものが優位であることの連続であったからだ。その点でIntelは過去5年ほど、若干の遅さが目についていた側面もあった。
だが、早い会社に変化していくベクトルは、上記のように1年に2回、新プロセッサをリリースすることでハッキリと見えている。今後、新方針のマイルストーンを継続的に見ていくことで、Intelの再強化を判断していきたい。
図1は、2021年11月4日に発売された「Core i9-12900K」の様子である。Coreシリーズはスケーラブルな製品ラインアップで展開されていて、最上位がCPUコアとGPUコアを搭載する12900K、その下にGPUコアのない12900KF、CPUコア数が16コアの12900、同12コアの12700(「Core i7-12700」)、さらにCPUコア数が少ない「Core i5」「Core i3」と下位展開されていく。いわゆるハイ、スーパーミドル、ミドル、ローの階層構造になっている。用途や価格に応じてプロセッサを選択できるわけだ。
最上位の12900Kだけは凝った梱包箱に収められている。これは以前から同様である。最も高価な、最上位品種だけの特権である。第12世代はウエハーを模したケースに、プロセッサが入っている。開封の喜びを味わえる演出が成されているのだ。
パッケージは第11世代よりも一回り大きくなり、LGA1700が採用されている。放熱用の巨大なLIDに覆われており、図1右下のようにLIDを取り外すとシリコンが見えてくる。シリコンは、片面にしか回路を形成できないので、見えているのはシリコンの裏面(回路のない側)である。回路側はパッケージとつながっていて、このままでは見ることができない。
近年は、ほぼ全てのプロセッサで、回路面をパッケージ側に向けている。それ故、モバイルプロセッサでもハイエンドコンピュータ用プロセッサでも、シリコンを取り外さない限り、“チップの顔”を見ることはできないようになっている。
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