上院は2021年の夏に、CHIPS法への520億米ドルの資金を含む別の法案を承認した。2021年6月に可決された米国技術革新競争法案(U.S. Innovate and Competition Act)には2500億米ドルの研究開発資金が含まれているが、その多くは米国立科学財団(National Science Foundation)およびエネルギー省の研究所から、議員らが所属する各州の既存のプログラムに移管された。その結果、基礎研究への資金提供額は290億米ドルに減少した。
下院の法案は、技術開発から基礎研究に重点を移すことを目指しており、同法案の支持者は「基礎研究こそが、将来の技術革新を促進する」と主張している。
下院の法案が可決される時期はまだ不明だが、CHIPS法案に関する両院会議では「研究室 VS 製造工場」の構図の議論がなされる可能性が高い。下院の科学および宇宙、技術委員会の委員長を務めるテキサス民主党議員のEddie Bernice Johnson氏は、半導体メーカーに対する連邦政府の支援よりも技術革新と競争力を重視してきた。
下院法案の主唱者であるJohnson氏は同法案について、「21世紀に成功するために最も必要なことについて、科学界からの厳しい意見を参考にして一から作成した」と述べている。
Johnson氏は、「科学とイノベーションへのこうした変革的な投資は、研究インフラの活性化や、全ての人に向けたSTEM機会の創出、クリーンエネルギーソリューションの構築、気候危機への対処、国家安全保障の強化、米国の半導体製造能力の強化に役立つ」と付け加えた。同氏は、優先順位の高いものから順にリストアップしていると思われる。
とはいえ、下院法案の最初の条項は、「Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors」の頭字語であるCHIPS法に十分な資金を提供するとしている。
「America COMPETES Act(アメリカ競争法)of 2022」の全文はここから参照できる。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.