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» 2022年02月16日 10時30分 公開

Intel、22年後半にカスタムブロックチェーンアクセラレーターを出荷 「エネルギー効率を1000倍向上」と説明

Intelは「カスタムコンピューティンググループ」と呼ぶ新しいアクセラレータグループを創設したことと、同グループが設計したカスタムブロックチェーンアクセラレーターを2022年後半に出荷する予定であることを発表した。

[Steve Leibson,EE Times]

 ブロックチェーンには、前米大統領夫人であるMelania Trump氏の水彩画や、スポーツの素晴らしい瞬間のビデオクリップのようなNFT(Non-Fungible Token、デジタル非代替性トークン)作品を販売する以外の未来があるだろうか。Intelは、この問いに対して「イエス」と回答している。

 Intelのアクセラレーテッドコンピューティングシステムおよびグラフィックスグループのシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるRaja Koduri氏は最近、「ブロックチェーンと新しいカスタムコンピューティンググループ」と題したオンライン論説を行った。同氏は論説の中で、Intelが「カスタムコンピューティンググループ」と呼ぶ新しいアクセラレーターグループを創設したことと、同グループが設計したカスタムブロックチェーンアクセラレーターを2022年後半に出荷する予定であることを発表した。

 なぜこれが大きな話題になっているのか。それは、ブロックチェーンが最も有望な分散型台帳システムの基盤で、あらゆる種類のデジタル資産および有形資産を保護するために最も有望視されているからだ。Intelはこの製品の最初の顧客として、Argo BlockchainとBLOCK(元Square)、GRIID Infrastructureと提携している。

現実世界の問題解決に適用できるブロックチェーン技術

 読者がブロックチェーンは荒唐無稽だと思ったとしても、筆者にはそれを責めることはできない。ビットコインのせいで、ブロックチェーンを取り巻く誇大宣伝があまりにも多くなった。さらに、Koduri氏の論説はメタバースや「Web 3.0」を想起させるため、この発表によってデジタル分野でさらなる議論が巻き起こると考えられる。確かに、メタバースやその他の方法において、ブロックチェーンの保護によって恩恵を受けるデジタル資産はたくさんある。

 しかし、ブロックチェーン技術は、特権的な先進諸国の投資家志望者向けに代替通貨やNFTを作成する他に、現実世界の問題解決にも適用できる。例えばブロックチェーンは、ダイヤモンドやスペアパーツ、医薬品、食品など、あらゆる現実資源を管理することができる。サプライチェーン全体で材料の所有権と所有者を追跡する必要がある場合や、多くの異なる事業団体がワークフローに関与している場合は特に、ブロックチェーン技術が大いに役立つ。

 分散型ブロックチェーン台帳は、リソースに関連する全トランザクションの履歴記録にすぎず、全トランザクションは全ての関係者のデータベースに保存される。ダイヤモンドを例に取ると、ダイヤモンドの鉱石は、採掘と粉砕、選別、等級付け、カット、研磨、箱詰め、台枠への取り付けを経て、販売、転売される。これら各処理の間には、複数の輸送が行われる。ダイヤモンドは追跡するのに十分な価値と固有性があり、既に個々の石を追跡するために使用するレーザーマーキングシステムも導入されている。ダイヤモンドを追跡するプライベートブロックチェーンネットワークでは、ネットワーク内の全ての関係者が、それぞれの石についての説明が記載された同じブロックチェーン台帳の安全なコピーを持っている。

 別の例として、食品についても見てみよう。私たちはここ数年、リーフレタスや牛肉、その他の消耗品のいずれについても、世界的な食品騒動やリコールを何度も目にしてきた。食品を生産者から加工業者、流通業者、小売業者、レストランや最終顧客まで追跡するブロックチェーン台帳があれば、大量のリコールで大勢の人を怖がらせて、膨大な食品廃棄物を生み出したりせずに、より明確に的を絞ったリコールが可能になる。

 企業や政府機関は、ブロックチェーン技術によって、食品が腐敗または汚染された理由と経緯を特定できるようになる。食品は輸送中ずっと、適切な温度に保たれていたか。しばらくの間、予定したルートから外れるようなことはなかったか。あるとすれば、どこを通ったのか。ブロックチェーン台帳システムでは、簡単に照会できるマスターデータベースを作成して、こうした情報へのアクセスを可能にする。

 コロナ禍において報道されることが多かったコンテナ輸送についても考えてみよう。サプライヤーは、金属や装飾用の石、おもちゃ、自動車部品、工具、電子機器などをコンテナに詰め込む。その後、コンテナはトラックに載せられて港に運ばれ、船に積み込まれる。数カ所の中継港を経て、最終的に目的地の港に到着し、船から降ろして積み重ねられ、別のトラックに積み込まれる。場合によっては列車に運ばれ、その後、最終目的地に到着する。こうした輸送は複数の事業者によって行われ、多くの追跡が実施されているが、その途中に数が減ったり、破損したり、こぼれたり、腐敗したりすることも多い。

ブロックチェーンの課題

 ブロックチェーンはまだ黎明期にあるが、IBMやOracle、Huaweiなど多くの大手企業は既にブロックチェーンサービス、つまり「サービスとしてのブロックチェーン(BaaS:Blockchain as a Service)」を提供している。ただし、Koduri氏が論説で指摘しているように、少なくとも1つの問題が差し迫っている。

 「一部のブロックチェーンは、膨大な演算能力を必要とするが、それは、残念ながら膨大なエネルギー消費を意味することを忘れてはならない。当社の顧客はスケーラブルで持続可能なソリューションを求めているため、最もエネルギー効率の高いコンピューティング技術を大規模に開発することでブロックチェーンの可能性を最大限に引き出す取り組みに注力している」(Koduri氏)

 Intelは今、この課題に立ち向かう術を確かに知っている。Koduri氏によると、Intelは2022年後半にブロックチェーンアクセラレーターを発表するという。同アクセラレーターは、ブロックチェーン取引を高速化し、関連する計算の実行に必要なエネルギーを3桁削減(エネルギー効率を1000倍向上)できる。これにより、大幅なエネルギー削減が可能となる。

 ただし、この華々しい予測には、注意が必要だ。Intelは、将来提供するブロックチェーンアクセラレーターチップの消費電力を、暗号化アルゴリズムとしてよく用いられるSHA-256を実行するGPUと比較しているためだ。現在、GPUはエネルギー消費によってその驚異的な速度を得ており、SHA-256アルゴリズムを実行するASICならば、GPUと比較するとはるかに少ないエネルギーしか必要としない。つまりKoruri氏は将来のIntelブロックチェーンアクセラレーターチップのエネルギー性能について、あまり語っていないのだ。Koduri氏は論説の中で「2022年2月のISSCC(国際固体回路会議)で、Intelの回路の革新についてもっと知ることができるだろう」としている。われわれは、恐らくそこでより詳しく知ることができるだろう。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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