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IntelがRISC-V Internationalに加盟、投資ファンドも設立ファウンドリー事業を強化

Intelは、「IDM2.0」戦略の拡大を進める一環として、同社のファウンドリーエコシステムに統合可能な技術の開発を支援する10億米ドルの投資ファンドを創設したことを発表した。同社は同時に、新興のRISC-V市場での存在感を高めるための動きも見せており、世界的な非営利団体であるRISC-V Internationalへの加盟も表明した。

» 2022年02月14日 09時30分 公開
[Stefani MunozEE Times]

 Intelは、製造関連の戦略である「IDM 2.0」の拡大を進める一環として、同社のファウンドリーエコシステムに統合可能な技術の開発を支援する10億米ドルの投資ファンドを創設したことを発表した。同社は同時に、新興のRISC-V市場での存在感を高めるための動きも見せている。

RISC-V開発企業とのパートナーシップも

 Intelは、200億米ドルを投じて米国オハイオ州に2つの新しい半導体工場を建設する計画を発表した後、エコシステムへの投資とRISC-V開発企業との連携の強化によって、米国をリードする半導体ファウンドリーになるための取り組みを拡大している。Intelの投資部門であるIntel Capitalとファウンドリー事業部門Intel Foundry Services(IFS)が共同で設立したイノベーションファンドは、知的財産(IP)やソフトウェアツール、半導体アーキテクチャ、先進のパッケージング技術を推進する取り組みに投資する。開発を加速し、新しいプロセッサの導入に必要な時間の短縮を目指す。

 Intelのファンドはまた、x86の枠を超えてArmやRISC-Vなどの複数の命令セットアーキテクチャを採用することで、ファウンドリー大手のTSMCやSamsung Electronicsと肩を並べて、ファブレス企業からの受注を獲得するというIFSのより大きな目標も明確に示している。

 Intelの新戦略には、RISC-V設計の採用の拡大も反映されている。Intelはこの目的の実現に向けて、Andes TechnologyやEsperanto Technologies、SiFive、Ventana Micro SystemsなどのRISC-V開発企業とのパートナーシップを発表している。さらに、Intelはスイスを拠点とする世界的な非営利団体であるRISC-V Internationalへの加盟も表明した。

 Intelはプレスリリースの中で、「この提携によって、IFS事業はさまざまな市場セグメントに最適化された幅広いRISC-V IPコアを生産できるようになる。IFSは、主要プロバイダーとの提携によって、IPをIntelのプロセス技術に最適化し、組み込みから高性能までのあらゆるタイプのコアにおいてIFSシリコン上でRISC-Vが最適に動作するようにする」と述べている。

オープンチップレットプラットフォーム開発へ

 Intelは、RISC-Vイニシアチブのサポートに向けて、複数のクラウドプロバイダーと協力して、SoC(System on Chip)よりもSoP(System on Package)アーキテクチャを優先するオープンチップレットプラットフォームを開発する計画を発表している。

 SoP設計は、アクセラレーターや、CPUコアやGPUなどの多機能チップを1つのパッケージに封止する。これによって、メーカーは半導体を個々のチップレットに分割することができる。Intelによると、チップレットは特定の機能に最適化できるため、IPとプロセス技術の高度なカスタマイズが可能になるという。

IntelのSoP(System on Package)アーキテクチャ[クリックで拡大] 出所:Intel

 Intelは、「多くのクラウドサービスプロバイダーは、人工知能などのワークロードを担うデータセンターの性能を向上させる目的で、アクセラレーターを組み込んだカスタムコンピューティングマシンの開発を目指している。データセンターCPUと同パッケージにアクセラレーターチップレットを密接に統合することで、CPUボードの近くにアクセラレーターカードを配置する場合と比較し、大幅な性能向上と消費電力の削減が可能になる」と述べている。

 また、同社は、「チップレット同士が高速で通信できるダイ間インターコネクトのオープンスタンダード」を開発する予定だとも述べている。同社は、このオープンなアプローチによって、メーカーが複数の異なるファウンドリーやプロセスノードの相互運用可能なチップレットを、複数の異なる技術を使用して1つのパッケージ内に組み合わせることが可能になると主張している。

 アナリストは、RISC-Vアーキテクチャに注力するというIntelの決断が、ArmやNVIDIAとの競争の次の段階への位置付けになるとしている。Cambrian-AI Researchの主席アナリストであるKarl Freund氏はForbesへの寄稿の中で、「Intelの10億米ドル規模の投資は前例がなく、業界の状況を一変させる可能性がある。結局破談となったが、NVIDIAによるArm買収が発表されてから、多くの開発者がArmに代わる技術を探すことに拍車が掛かっている。RISC-Vはまさにその技術であり、これ以上ないタイミングだ」と述べている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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