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磁気トンネル接合を用いたフィルム型ひずみゲージひずみ検出感度は普及型の500倍

大阪大学は、磁気トンネル接合素子を用い、ひずみ検出感度が普及型の500倍という「フィルム型ひずみゲージ」を開発した。医療やヘルスケア、スポーツ科学、仮想現実といった分野における生体モーションの精密計測が可能となる。

» 2022年02月18日 10時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

磁界を外部から印加しなくても、ひずみゲージの動作は安定

 大阪大学産業科学研究所の千葉大地教授らによる研究グループは2022年2月、磁気トンネル接合素子を用い、ひずみ検出感度が普及型の500倍という「フィルム型ひずみゲージ」を開発したと発表した。医療やヘルスケア、スポーツ科学、仮想現実といった分野における生体モーションの精密計測が可能となる。

 研究グループは今回、柔らかなプラスチックフィルム(フレキシブル基板)上に、2層の磁性ナノ薄膜で絶縁体のナノ薄膜を挟み込んだ「磁気トンネル接合」を形成した。引っ張り試験機を用いて、プラスチックフィルム上の磁気トンネル接合を引っ張ると、磁気トンネル接合にひずみが加わり、素子抵抗が変化する。

 試作したフィルム型ひずみゲージで実験を行うと、ひずみが0.2〜0.4%の範囲で、素子抵抗は200%近く減少したという。ゲージ率は約1000となり、一般的に普及しているフィルム型金属箔(はく)ひずみゲージと比べ、ひずみ検出感度は500倍に相当するという。

左図は引っ張り試験機でプラスチックフィルム上の磁気トンネル接合を引っ張っている様子と試料の模式図、右図は磁気トンネル接合の素子抵抗の引っ張りひずみによる変化[クリックで拡大] 出所:大阪大学

 フィルム型ひずみゲージの実用化に向けては、いくつかの課題があったという。その1つは、安定した動作を得るために、わずかな磁界を外部より印加する必要があることだ。研究グループは今回、「交換バイアス」という手段を用いて、この課題を解決できることを実証した。

 もう1つは「閾(しきい)ひずみの存在」である。研究グループは、閾ひずみのメカニズムと閾ひずみが存在しない条件について、シミュレーションを行い解明した。さらに、ひずみに対する電気抵抗の変化について、線形性を保つための条件も明らかにした。

 今回の実験に用いた磁気トンネル接合は、1mm2の6800分の1という極めて小さいサイズである。量産中の固体磁気メモリに用いられている製造技術を応用すれば、さらに小さなひずみゲージを作製することが可能になるという。

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