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» 2022年03月22日 11時30分 公開

コロナ下の研究停滞がようやく始動、光技術の新潮流が見えてきた光伝送技術を知る(20) 光伝送技術の新しい潮流(1)(1/3 ページ)

今回から、新シリーズとして、光技術や光モジュール開発の動向をお伝えしていく。コロナの影響で停滞していた研究開発もようやく少しずつ再開されているので、それらの成果発表も随時紹介していきたい。

[高井厚志,EE Times Japan]

 最近、AI/ML/HPC(Artificial Intelligent/Machine Learning/High Performance Computing)、量子コンピュータや5G(第5世代移動通信)への適用を目指した新しい光技術、光モジュールの開発が活発になっている。新しい市場のチャンスに、投資も盛り上がり、新しいプレイヤーによるさまざまな技術や製品が次々と登場している。今回から始まる新しいシリーズでは、その新しい潮流と将来動向を紹介し、考察していきたい。

データセンター向け光技術の今後の動向

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 最近10年は、ハイパースケールデータセンター向け需要が光トランシーバー市場を支配してきた。光デバイスなどの関連技術も、この市場動向に応えるべく研究開発されてきた。規模と性能向上を追う勢いは変わらない。

 データセンターネットワークで使用するスイッチに搭載されるICの「2年に2倍の交換容量」というトレンドは継続される。2023年ごろに51.2T、2025年ごろに102.4TのスイッチICが市場に供給され始めると予測されている。それに対応した800G、1.6Tの光トランシーバーが開発されるだろうし、その先の3.2Tの議論も始まっている。市場は400Gが立ち上がっているところで、開発の興味は800G、そして200G per lambdaに移っている。

 現在、光トランシーバーの主流である、QSFP-DDやOSFPといったFront Panel(FP) Pluggableは、そのFlexibilityとServiceabilityを維持しつつ、より高速な製品が開発されている。高速化に向けての課題の一つが、Front Panelに搭載されたモジュールとスイッチICとの接続であり、差動2芯同軸細線など新しい材料や部品が検討されている。

図1:高速FP Pluggable接続方式の例(Cu-OBO/NPOはOBOやNPOのForm Factorに適合した電気配線コネクタ)[クリックで拡大]

 一方、2020年にFacebook(現Meta)とMicrosoftがJoint Development Projectを設立し、大ブームを引き起こしているCo-packaged Optics(CPO)は、Near Package Optics(NPO)という現実解へ舵を切ったことは前回報告した。

 ただし、業界のコンセンサスは「51.2Tスイッチには間に合わないであろう、102.4Tシステムにおいて、FP Pluggableとともに採用される可能性がある」というものだ。3.2/6.4T光トランシーバーにおいて主戦場で競合するといわれているのである。

 このようなシャシーの内部に光モジュールを搭載するIn-Box Optics(IBO)の実用化に向けた議論が盛んに行われている。Fieldで交換できるというエンドユーザーのServiceability要求は必須(マスト)のコンセンサスになりつつあり、エコシステムにも影響する。

 IBO故障時にはPCBを引き抜いて交換するため低故障率は最大課題の一つである。これに対し、冗長性のある構成や交換基準の見直しなどが検討されているという。また、故障率は温度に指数関数的に依存するので冷却に関する検討も始まっている。

 IBOには低消費電力、小型と低コストの期待が大きく、これに注目した規格や製品の登場が望まれる。消費電力の指標であるpJ/bitにおいて一桁の数字、例えば5pJ/bitが一つの目安になるだろう。データセンター全体の低消費電力化、グリーン化という趣旨からすると、レーザーをモジュール内部に持たない外部光源方式の場合は、その光源の消費電力も対象だと考えている。

図2:In-Box Optics(IBO)の例(OBO/NPO/CPO)*) NPOは51.2Tの供給開始には間に合わないとされる[クリックで拡大]

 今回のシリーズでは、III-V族光デバイスを主軸としたFP Pluggableから、AI/ML/HPC/5Gといったシステム動向に向けて開かれようとしている新しい市場に対応した、新しい光技術や注目すべき技術を紹介していく予定だ。特に光インタコネクトとSi-photonics(シリコンフォトニクス)、光スイッチに関しては活発な開発競争が進んでいるので、その技術や方向性を解説してきたい。

 コロナ禍で低調だった研究開発も活発化が予測され、その成果発表が楽しみであり、今後も随時、本シリーズで報告していきたい。

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