キヤノンオプトロンは「第13回 国際二次電池展(春)」(2022年3月16〜18日、東京ビッグサイト)で、全固体リチウムイオン電池向けの酸化物系固体電解質を展示した。産業技術総合研究所との共同研究により開発した材料である。
キヤノンオプトロンは「第13回 国際二次電池展(春)」(2022年3月16〜18日、東京ビッグサイト)で、全固体リチウムイオン電池向けの酸化物系固体電解質を展示した。産業技術総合研究所との共同研究により開発した材料である。
室温で10−5S/cmという高いイオン伝導率に加え、低温で焼結可能という点も特長だ。既存の材料は約1000℃で焼結するのが一般的だが、キヤノンオプトロンが開発した新しい材料は、大気雰囲気下で600〜700℃で焼結する。そのため、「活物質との化学反応が抑えられ、リチウムイオン電池の出力を向上できる」と同社は説明する。
さらに、大気中に一定期間、暴露しても伝導性に変化がないので、大気中での保管や取り扱いが可能だ。保管や取り扱いのために不活性環境を用意する必要がない。正極材、負極材についても一般的な材料が使えるので、「気軽に“固体電池化”できる」(同社)という。
酸化物系固体電解質は、硫化系固体電解質よりも安全性が高い材料だ。そのため、「ウェアラブル機器など、小型かつ高い安全性と信頼性が求められるアプリケーションにニーズがあるとみている」と同社は述べる。
今回開発した酸化物系固体電解質は、サンプル提供が可能。量産は2023年以降を予定している。
キヤノンオプトロンは、光学用結晶材料や真空蒸着材料を手掛ける。今回展示した固体電解質は、「約40年にわたり蓄積してきた光学用材料技術を応用して、開発したもの」(同社)であり、自社の技術を生かして新しい分野の開拓を進めていると語った。
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