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電機大手8社の21年度決算まとめ ―― 収益の安定したソニー、日立製作所が好決算大山聡の業界スコープ(53)(2/4 ページ)

» 2022年05月17日 13時45分 公開

産業メカトロニクスの回復が楽しみな三菱電機

 三菱電機の2021年度売上高は4兆4767億円(前年比6.8%増)、営業利益2521億円(同219億円増)、当期利益2034億円(同103億円増)であった。

三菱電機の部門別営業利益[クリックで拡大] 出所:三菱電機決算資料よりGrossberg作成

 重電システム部門は、国内の電力や交通事業の減少で減収減益、特に案件の変動による減益が大きかった。産業メカトロニクス部門は、FAシステム事業の需要が好調で増収増益を達成したが、自動車機器企業で素材価格上昇などのマイナス要因もあった。情報通信システム部門は、大口案件の減少で減収減益になった。電子デバイス部門は、パワー半導体の需要回復で増収増益となった。家庭電器部門は、需要堅調で増収だったが、素材価格の上昇などで減益に終わった。

 2022年度の見通しとしては、売上高4兆7700億円(同6.6%増)、営業利益2700億円(同180億円増)、当期利益2150億円(同116億円増)を見込んでいる。特に同社の収益の柱である産業メカトロニクス部門で久々の1000億円超の営業利益(1080億円)を見込んでいる点はポジティブに評価できるだろう。同部門と重電システム部門の2つがそろって1000億円超の営業利益を叩き出せるようになれば、同社の収益性はさらに安定しそうである。

全体的に物足りなさを感じるNEC

 NECの2021年度売上高は3兆141億円(前年比0.7%増)、調整後営業利益1710億円(同72億円減)、調整後当期利益1672億円(同18億円増)、調整後当期利益は3年続けて過去最高益を更新した。

NECの部門別営業利益[クリックで拡大] 出所:NEC決算資料よりGrossberg作成

 社会公共部門は、消防・防災向け前年度特需の反動減などで減収減益になった。社会基盤部門は、前年度のPC特需(GIGAスクール)の反動などで減収だったが、連結子会社(日本航空電子工業)の改善で増益となった。エンタープライズ部門は、全領域で需要が堅調に推移し、増収増益になった。ネットワークサービス部門は、国内5G需要の拡大はあったが、連結子会社(NECネッツエスアイ)の減収や5G関連の戦略的費用増で減収減益になった。グローバル部門は、DG/DF(デジタルガバメント/デジタルファイナンス)領域を中心に増収増益となった。

 2022年度の見通しは、売上高3兆1300億円(同3.8%増)、調整後営業利益1850億円(同140億円増)、調整後当期利益1150億円(同522億円減)を見込んでいる。2025年度の目標として、売上高3兆5000億円、調整後営業利益3000億円、調整後当期利益1850億円を掲げている同社だが、5GやDX需要の追い風を受けている環境下で、営業利益1000億円超の部門が育っていないことに物足りなさを感じる。特に売上の75%を国内市場に依存している内弁慶ぶりをどのように改善できるのか、気になるところである。

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