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» 2022年05月17日 17時55分 公開

脱炭素追い風にSiCなどの開発を加速、三菱電機福山工場の300mmウエハーも初公開

三菱電機は、世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2022」(2022年5月10〜12日、ドイツ)に出展し、IGBTおよびSiC(炭化ケイ素)のパワーモジュール製品群などを展示した。

[永山準,EE Times Japan]

 三菱電機は、世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2022」(2022年5月10〜12日、ドイツ)に出展し、IGBTおよびSiC(炭化ケイ素)のパワーモジュール製品群などを展示した。

三菱電機のブース。IGBTおよびSiC製品がずらりと並んでいた[クリックで拡大]

 欧州では2050年までの気候中立を目指す「欧州グリーン・ディール」および、2030年に温室効果ガスを1990年比で少なくとも55%削減するための政策パッケージ「Fit for 55」が発表されるなどグリーン化へ向けた取り組みが加速、再生可能エネルギーをはじめとした各用途でのパワー半導体需要が拡大し、SiCの需要も本格化しているという。

 また、欧州グリーン・ディールでは、個々のセクターに対してCO2排出量に関する拘束力ある目標が出される予定で、特に運輸部門では、2050年までに温室効果ガスの排出を90%を削減することが求められているという。そうした中、三菱電機は2022年5月10日に、鉄道事業を広く展開するSiemens MobilityとSiCパワーモジュール技術の分野で協力する覚書に調印したと発表、「先進的なSiC技術で新しい技術標準を設定し、Siemens Mobilityの鉄道を脱炭素化する」と説明している。

 三菱電機は、「当社のSiCデバイスは、鉄道のトラクションインバーターなど、最も要求の厳しいアプリケーションで長期的な信頼性を実証している。特に、当社のフルSiC 3.3kVパワーモジュールは、トラクションインバーターの省エネルギー化と小型化に貢献する」と説明。LV100パッケージを用いる同社のSiCパワーモジュールは、低インダクタンスで容易に並列化でき、インバーター動作時の電力損失を従来のシリコンパワーモジュールと比較して約75%低減することが可能という。

産業用2.0kV耐圧IGBTモジュール

 同社の展示ではフルSiC 3.3kVパワーモジュールをはじめとしたSiC製品のほか、再生可能エネルギーには、同用途に最適化した大電力モジュール「LV100」、パワートランスミッションにはHVIGBTモジュールの「Xシリーズ」、車載にはxEVインバーター用の軽量/小型パワーモジュール「J1シリーズ」、産業用途には第7世代のIGBTモジュール NXタイプ、家電向けには「SLIMDIP」などといった形で、用途と容量(大容量、中容量、小容量)に分けて製品を展示していた。

 新製品としては2022年4月に発表した産業用LV100タイプ 2.0kV耐圧IGBTモジュールTシリーズを展示していた。Tシリーズは、再生可能エネルギーで使用される電力変換機器において需要が高まる、欧州の低電圧指令の上限電圧1500VDCへの対応を実現した製品だ。「CSTBT(Carrier Stored Trench-gate Bipolar Transistor)」という独自構造の第7世代IGBTと、RFC(Relaxed Field of Cathode)ダイオードを、高耐電圧仕様にそれぞれ最適化し、トレードオフ関係にある高電圧動作対応と低電力損失を両立している。2022年12月の量産開始を予定している。

産業用LV100タイプIGBTモジュールの内部、絶縁部と銅ベース部を一体化した構造によってサーマルサイクル寿命の向上を実現している[クリックで拡大]

 また、同社は福山工場(広島県福山市)で12インチ(300mm)ウエハーラインを新設し2025年までに2020年度比で生産能力を2倍に高める計画を発表しているが、今回、同工場で試作したウエハーを初めて公開していた。

福山工場(広島県福山市)で作られた300mmウエハー[クリックで拡大]

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