2022年5月、新たに大規模な買収案件が登場した。Broadcomが、VMwareを610億米ドルで買収するという。
2022年5月、新たに大規模な買収案件が登場した。Broadcomが、VMwareを610億米ドルで買収するという。明らかにBroadcomが、プロセッサからアプリケーションまでフルスタックの実現に向けた取り組みを推進しようとしていることが分かるが、現在、Red HatやKubernetesなどのプレイヤーたちとの競争が迫る中、果たして優れた戦略だといえるのだろうか。
契約によるとBroadcomは、同社の一事業部門であるBroadcom Software GroupをVMwareとしてリブランドする予定だという。既存のインフラおよびセキュリティソフトウェアソリューションを、VMwareのポートフォリオの一部として組み込んで拡充していく。Broadcomは、「この買収によって、『確立されたミッションクリティカルなプラットフォームを入手するという実績に基づき、世界最先端のインフラ技術メーカーを実現する』という当社の戦略をさらに推進していきたい」と述べている。
VMwareは、マルチクラウドサービスおよび仮想化技術の分野において実績を持つプロバイダーだ。同社によるとこの分野は、x86サーバベースのコンピューティングの積極的な移行を推進してきたイノベーションだという。また同社は、ハイブリッドクラウドおよびデジタルワークスペースへの移行が進む以前は、ソフトウェア定義されたデータセンターや、仮想ネットワーク、ストレージなどの分野で重要な役割を担っていた。
合併後の新企業は、Broadcom Software Groupのポートフォリオと、VMwareのプラットフォームとを統合することにより、エンタープライズ顧客向けに重要なインフラソリューションの拡張プラットフォームを提供し、複雑な情報技術インフラのニーズに対応することが可能になる。Broadcomは報道向け発表資料の中で、「両社のソリューションを組み合わせることで、あらゆる顧客企業が、分散化された多様な環境においてアプリケーションの構築や実行、管理、接続、保護などを大規模に展開できるよう、データセンターやクラウド、エッジコンピューティングなどの実行場所を問わず、幅広い選択肢と柔軟性を提供できるようになる」と述べている。
VMwareのCEO(最高経営責任者)であるRaghu Raghuram氏は、「VMwareの資産と優れた人材によるチームを、Broadcomの既存のエンタープライズソフトウェアポートフォリオと組み合わせ、VMwareブランドとして統合することにより、素晴らしいエンタープライズソフトウェアメーカーが誕生する。さらに幅広い選択肢や、価値、イノベーションなどを総合的に提供することにより、顧客企業は複雑化の一途にあるマルチクラウド時代において成功を収めることができる」と述べている。また、Broadcom Software GroupのプレジデントであるTom Krause氏は、「VMwareのプラットフォームとBroadcomのインフラソフトウェアソリューションは、さまざまに異なる重要なエンタープライズのニーズに対応することが可能だ。合併後の新企業は、さらに効率的かつセキュアな対応を実現できるだろう」と付け加えた。
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