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不安定な時代だからこそ進化は進む! 「Echo Show 15」「iPhone SE3」を分解この10年で起こったこと、次の10年で起こること(63)(3/3 ページ)

» 2022年06月16日 11時30分 公開
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「iPhone SE3」を分解

 図4は、2022年3月に発売されたAppleのコンパクト廉価版のスマートフォン「iPhone SE3」の分解である。第2世代(「iPhone SE2」)は2020年の製品なので、2年ぶりのバージョンアップということになる。

図4:「iPhone SE3」の分解[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 iPhoneシリーズは毎年アップバージョンを続けているが、SEシリーズは2015年に誕生し、2017年は「iPhone 8」が発表されたのでスキップされ、7年間で3機種というペースで進化を続けている。

 第3世代となるiPhone SE3は、2021年の最上位モデルと同じ、「A15 BIONIC」がプロセッサとして採用されている。廉価版モデルにも最先端、最上位のプロセッサを搭載することで、Appleは機能(性能ではなく)面で最上位から廉価版まで同じという状況を作り出しているわけだ。

 図4は、ディスプレイを取り外し、基板、カメラを拡大した様子である。多眼カメラではなくシングルカメラ、顔認証機能は省略され、下部に指紋認証のユニットがホームボタン裏に設置されている。

 表2は、現行モデルで最上位機種となる「iPhone 13 Pro」(Pro Maxもほぼ同じ)と廉価版のiPhone SE3との比較である。最も大きな差は表にはないが、ディスプレイサイズは、iPhone 13 Proが6.1インチ、iPhone SE3は4.7インチと2回りほど異なる。また重さも前者が203g、後者が144gと差は大きい。

表2:「iPhone 13 Pro」とiPhone SE3の構造の差[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 iPhone 13 ProとiPhone SE3は、外観だけでなく内部も大きく異なっている。電池と基板の位置が逆になっている。Appleは、iPhone 12で電池と基板の位置を左右入れ替えたが、iPhone SE3は、iPhone SE2を踏襲しているので、iPhone 13シリーズとは左右逆になっている。iPhone 13 ProはL字型の電池を用いるが、iPhone SE3はオーソドックスなバー型だ。またメインの基板はiPhone 13 Proが2層基板(片側がプロセッサ系、もう一方が通信系)だが、iPhone SE3ではオーソドックスな1層構造となっている。L字電池、2層基板といった高コストの技術は採用されず、オーソドックスな技術を用いることで廉価版向けのコストカットを行っているわけだ。

通信チップが異なる

 表3では、iPhone 13 ProとiPhone SE3の基板上の主要チップを比較した。システムの骨格であるプロセッサおよび、プロセッサの動作、性能を最適化するための電源ICは2機種ともに、Apple製のA15 BIONICセットとなっている。プロセッサは同じものなので、iPhone13 ProとiPhone SE3は機能的には同じものである。しかし通信チップは若干異なっている。どちらもQualcommの5G通信チップセットを活用するが、チップのバージョンが異なる。iPhone13 Proは5Gの中でも現在ほぼ最上位の速度を実現するセットだが、iPhone SE3は若干速度が落ちたものとなっている(日常生活で利用する分には、ほぼ差は分からない)。

表3:iPhone 13 ProとiPhone SE3の搭載チップの比較[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート


 さまざま変化の真っただ中にある2022年だが、エレクトロニクス業界もかつてない変化、進化を続けている。今後も網羅的に業界情報をキャッチして情報を発信していきたい。製品分解についても、値上がりで仕入れコストが大きくなっているが、重要なエビデンスとなる分解解析を続けていくので、ぜひ期待していただければと思う。


執筆:株式会社テカナリエ

 “Technology” “analyze” “everything“を組み合わせた造語を会社名とする。あらゆるものを分解してシステム構造やトレンドなどを解説するテカナリエレポートを毎週2レポート発行する。会社メンバーは長年にわたる半導体の開発・設計を経験に持ち、マーケット活動なども豊富。チップの解説から設計コンサルタントまでを行う。

 百聞は一見にしかずをモットーに年間300製品を分解、データに基づいた市場理解を推し進めている。


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