物質・材料研究機構と産業技術総合研究所および、筑波大学の研究グループは、多数の微小なπ接合からなる熱電素子を試作し、0.5V以上の出力電圧を実現したと発表した。この熱電素子がIoT機器の駆動電源として対応できることを示した。
物質・材料研究機構(NIMS)と産業技術総合研究所(産総研)および、筑波大学の研究グループは2022年6月、多数の微小なπ接合からなる熱電素子を試作し、0.5V以上の出力電圧を実現したと発表した。この熱電素子がIoT(モノのインターネット)機器の駆動電源として対応できることを示した。
熱電変換素子/モジュールは、IoT機器の電源やセンサーなどへの応用が期待されている。しかし、これまではバルク材料を用いるのが一般的であり、熱電素子としての微小化や集積化が課題となっていた。また、小型/微小にすることで、出力電圧が低下するという問題もあったという。
研究グループは今回、微小化による出力電圧の低下を抑えるため、高い熱起電力と低い電気抵抗を示すMg2Sn0.8Ge0.2の薄膜試料を作製し、これをp型層材料として採用した。n型層には室温で薄膜形成が可能なビスマス(Bi)を用いて、密度の高い平面π型熱電素子を作製した。p型層とn型層を接続する電極は、Cr/Ni/Ptの三層構造とした。
試作した熱電素子は、半導体微細加工技術を用い、12mm角の領域内に36個のπ接合を形成した。p型層とn型層の幅はそれぞれ150μm、p型層とn型層間のギャップは20μmである。試作した熱電素子の出力電圧は0.5V以上、最大出力0.6μWを達成した。p型層とn型層の断面積より算出される最大出力密度は21mW/cm2で、市販バルクモジュールに比べ、100分の1から10分の1程度だという。
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