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TECHNO-FRONTIER 2022/INDUSTRY-FRONTIER 2022 特集
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» 2022年07月25日 15時30分 公開

酸化ガリウムパワーデバイス、22年内にも量産へ採用実績を作り、市場加速を狙う

京都大学発のベンチャーで、酸化ガリウム(Ga2O3)パワーデバイスの開発を手掛けるFLOSFIAが、2022年内にもSBD(ショットキーバリアダイオード)の量産を開始する見込みだ。

[村尾麻悠子,EE Times Japan]

 京都大学発のベンチャーで、酸化ガリウム(Ga2O3)パワーデバイスの開発を手掛けるFLOSFIAが、2022年内にもSBD(ショットキーバリアダイオード)の量産を開始する見込みだ。

 同社は、「TECHNO-FRONTIER 2022」(2022年7月20〜22日/東京ビッグサイト)に出展し、酸化ガリウムを使用したSBD「GaO SBD」を搭載した評価ボードを展示した。GaO SBDは、最大定格が600Vで順電流(If)は10A。まずは数百ワットクラスの電源をターゲットとしている。FLOSFIAのパワーデバイス事業本部で営業部長を務める井川拓人氏は「この1年、GaO SBDのサンプル出荷を続け、前向きな評価をいただいてきた」と述べる。

 ブースではFLOSFIA製の評価ボードに加え、和光電研が製作した、GaO SBD搭載のDC-DCコンバーターも展示した。この意味は大きい。井川氏は「GaO SBDのような新しいデバイスは、市場での採用実績がなければ普及拡大が難しい」と説明する。そのため、どこか1社でも採用したり導入したりする企業があれば、それがきっかけとなって採用事例が増えてくる可能性があるのだ。「1年後には、GaO SBDを搭載した最終製品を展示会で披露できるようになっていたい」と井川氏は目標を語る。

左=FLOSFIAのGaO SBD評価ボード(写真左)と、和光電研が製作した、GaO SBD搭載のDC-DCコンバーター(写真右)/右=和光電研のDC-DCコンバーター。手前にGaO SBDが実装されているのが見える[クリックで拡大]

 FLOSFIAの酸化ガリウムパワーデバイスは、α-Ga2O3という材料を使用する。酸化ガリウムには、結晶の形が異なるβ-Ga2O3があり、構造的にはこちらの方が安定している。ただ、バンドギャップなど特性としてはα型の方が優れている*)ため、FLOSFIAはα-Ga2O3の開発にフォーカスしてきた。FLOSFIAは、安定性があり、かつ優れた特性を持つα-Ga2O3を製造できる、独自の成膜技術「ミストドライ法」を持つ。「現時点では、当社のミストドライ法以外で、安定的なα型酸化ガリウムを作るのは難しい」と井川氏は説明する。

*)バンドギャップの値(eV)は、Siが1.1、SiCが3.3、Ga2O3が5.3。この5.3というのはα型の数値で、β型ではこれがもう少し低くなる。

 パワーデバイスの市場としてはまだ初期段階にある酸化ガリウムパワーデバイスだが、「学会などでは多くの研究成果が発表されている。ただし、それらはβ-Ga2O3を対象にしたものがほとんどだ」と井川氏は話す。「そういった意味で、パワーデバイスとして実用化に近いのは、α型ではないか」(同氏)

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