ノベルクリスタルテクノロジー、ロームから資金調達:β型酸化ガリウムの事業化を加速
ノベルクリスタルテクノロジーは、ロームを引受先とする第5回第三者割当増資を行った。今回の増資で得た資金と、ロームとのパートナーシップにより、β型酸化ガリウムエピウエハーの事業化を加速していく。
ノベルクリスタルテクノロジーは2022年5月、ロームを引受先とする第5回第三者割当増資を行った。ノベルクリスタルテクノロジーは今後、今回の増資で得た資金と、ロームとのパートナーシップにより、β型酸化ガリウム(β-Ga2O3)エピウエハーの事業化を加速していく。
ノベルクリスタルテクノロジーは、タムラ製作所や情報通信研究機構(NICT)、東京農工大学を中心メンバーとする研究チームが行ってきた酸化ガリウムの開発成果を基盤として、Ga2O3エピウエハーの開発や製造を行っている。
2022年3月には、キラー欠陥を従来の10分の1に低減した「第3世代酸化ガリウム100mmエピウエハーの開発」や、「HVPE(ハライド気相成長)法を用いて、6インチウエハー上への酸化ガリウム成膜に成功した」ことを発表するなど、具体的な成果を上げてきた。
ノベルクリスタルテクノロジーの主な製品(クリックで拡大) 出所:ノベルクリスタルテクノロジー
一方、ロームは新たな事業モデルを加速させるため、スタートアップ企業を対象にしたコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)活動を、2021年7月より始めている。ノベルクリスタルテクノロジーに対する出資も、その一環である。
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大陽日酸は、東京農工大学やノベルクリスタルテクノロジーと共同で、ハライド気相成長(HVPE)法により、6インチウエハー(サファイア基板)上に酸化ガリウム薄膜を形成することに成功した。
- アンペア級で耐圧1200Vの酸化ガリウムSBDを開発
ノベルクリスタルテクノロジーは、アンペア級の大電流に対応する耐圧1200Vの「酸化ガリウムショットキーバリアダイオード」を開発した。2023年の製品化を目指す。次世代電気自動車や空飛ぶクルマなどの用途に向ける。
- ロームとデルタ電子、GaNデバイスの開発で協業
ロームとデルタ電子は2022年4月27日、GaNパワーデバイスの開発と量産において戦略的パートナーシップを締結したと発表した。デルタ電子の電源開発技術と、ロームのパワーデバイス開発、製造技術を組み合わせ、600V耐圧のGaNパワーデバイスを共同で開発する。
- ローム、ゲート耐圧8Vの150V耐圧GaN HEMTを量産
ロームは2022年3月、ゲート・ソース定格電圧(ゲート耐圧)を8Vに高めた150V耐圧GaN HEMT「GNE10xxTBシリーズ」として「GNE1040TB」を開発、量産体制を整えた。
- パワーMOSFET、最速逆回復時間と低オン抵抗を両立
ロームは、耐圧600VのSuperJunction MOSFETとして、業界最速の逆回復時間と低オン抵抗を両立させた「R60xxVNxシリーズ」7機種を開発した。EV充電ステーション、サーバ、通信基地局などの電源回路や、エアコンなど白物家電のモーター駆動といった用途に向ける。
- 電源ICの応答性能を向上させる電源技術を確立
ロームは、電源ICの負荷応答特性を向上させる新たな電源技術「QuiCur(クイッカー)」を確立したと発表した。電源回路の設計工数を大幅に削減することが可能になる。
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