TDKは、同社が開発中の小型フルカラーレーザーモジュール(FCLM:Full Color Laser Module)を搭載したAR(拡張現実)グラスを、2022年10月18〜21日に開催される「CEATEC 2022」(幕張メッセ)にて出展する。
TDKは、同社が開発中の小型フルカラーレーザーモジュール(FCLM:Full Color Laser Module)を搭載したAR(拡張現実)グラスを、2022年10月18〜21日に開催される「CEATEC 2022」(幕張メッセ)にて出展する。
同FCLMは、フルカラーの1620万色を表現可能なレーザーながら、5.5×10.8×2.6mmと指先に乗るほどの小型サイズを実現している。この超小型なFCLMをARグラスに搭載することで、「世界でほぼ初めてメタバース用途を狙った、真のARグラスを実現できる」とTDKは意気込む。
従来のARグラスは、「仮想的に表示されている映像(仮想映像)」と「現実世界の風景」の両方をクリアに見ることができないという課題を抱えている。仮想映像にピントを合わせると現実世界の風景がぼやけ、現実世界の方にピントを合わせると仮想映像がぼやけてしまうのだ。
これを解消するのが、レーザーにより網膜に直接映像を投影するタイプのARグラスとされている。網膜に直接投影することで、角膜や水晶体の働きが関係なくなり、ピントを合わせる必要がない“フォーカスフリー”の状態で、仮想映像も現実世界の映像も見られるようになるのだ。これが「真のARグラス」だとTDKは主張する。
TDKは、このような網膜直接投影技術を適用したARグラスのデモ機をQDレーザと共同開発し、CEATEC 2022で披露する。
今回出展するデモ機では、TDKがFCLMを手掛け、そこから出力する映像を網膜に直接投影するためのリフレクターやMEMSミラーなど光学系の機構は、QDレーザの技術を用いている。
従来のFCLMは、パッケージ内にRGBのレーザーダイオードを配置し、そこから照射されたレーザーを、パッケージ内のミラーで反射させて光軸を合わせ、レーザー光として出力する。「光軸を合わせること自体が技術的に難しい上に、従来のこの方法だと、部品点数が多くサイズも大きくなる」とTDKは説明する。
TDKは、NTTが開発したPLC(Planer Lightwave Circuit:平面光波回路)を採用することで、体積と重量を従来比で10分の1に抑えたFCLMを開発。今回のデモ機に搭載できるほど超小型なFCLMを実現した。
さらにTDKは、同FCLMの製造に、HDDヘッド開発で培った技術を応用。幅わずか1.5μmという、PLCの導波路の入り口に、RGBの各レーザーダイオードを接合して光軸を合わせる高精度なアラインメント技術を用いて、FCLMを製造するプロセスも確立した。
CEATECでは、このデモ機を実際にかけて、仮想映像と現実の映像がどのように見えるのかを体験できる。
なおTDKは、2024年をめどに超小型FCLMの製品化を目指す。それを搭載した網膜直接投影型ARグラスも、同時期の製品化を目標にしている。
TDKはこの他、エッジAI(機械学習)を搭載したワイヤレスメッシュセンサーモジュール「i3 Micro Module」も展示する。さまざまな設備の予知保全に用いる可能なセンサーモジュールで、各モジュールが自動で連携してワイヤレスネットワークを形成し、広範囲をカバーする。各モジュールに搭載したエッジAI技術を使い、モジュール内でデータを処理し、必要なデータのみクラウドなどに送信する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.