2022年度第3四半期の売上高は産業・インフラ・IoT向け事業の好調や為替影響などから予想比で0.9%増となった。売り上げ総利益率も製品ミックス改善や生産回収および為替影響などを要因に予想比0.5ポイント増となった。なお為替については、「先々の円高リスクに備えるため為替ヘッジを行っており、円安による売り上げ総利益率に対するアップサイドは限定的になっている」としている。生産回収と製造費用はおおむね予想通り推移したほか、営業費用は予想対比では60億円減となり、結果として営業利益率は予想比2.3ポイント増で着地した。
2022年度第3四半期業績を前四半期比でみると、売上高は自動車向け事業が3.7%減だった一方で産業・インフラ・IoT向け事業が7.8%増となり全体では2.8%増となった。なお売上高は為替影響を除いた状態でみるとマイナスになっているという。売り上げ総利益率は為替影響や産業・インフラ・IoT向け事業の増加といったプラス要因があったものの、生産回収は後工程で若干の生産稼働減があったことなどから1.6ポイント減となった。また営業費用が増加するなどした結果、営業利益率は1.7ポイント減だった。
第3四半期における在庫水準に関しては、自社在庫はDOI(Days of Inventory)が前四半期より全体で増加した。事業別でみると、自動車向け事業が増加した一方で、産業・インフラ・IoT向け事業では減少した形になっている。自社在庫増の具体的な要因は、為替や棚卸評価更新の影響のほか、原材料についてはウエハーや基板、保守部品など供給リスクのある原材料の先行発注を行ったことなどが挙げられる。
仕掛品は、車載向けSoC(System on Chip)を中心に2023年も視野に入れた先行発注を継続しているほか、内製工場を中心に前工程の加工を終えたウエハーを備蓄する「ダイバンク」拡充も進めた。同社は、「第4四半期もダイバンクを拡充していく方針で、自動車向けを中心に仕掛品の量は増加する見込みだ」としている。完成品については、稼働日を減らす第4四半期向けの対応として先行生産を実施。第4四半期の見通しとしては、「自動車向けを中心に先行出荷することで、在庫は減少を見込んでいる」としている。
販売チャンネル在庫は、自動車向けで減少した一方、産業・インフラ・IoT向けで微増、結果として全体ではWOI(Weeks of Inventory)は減少した。同社は、「両セグメントともに最終需要の動向に合わせた対応を継続している」と説明。産業・インフラ・IoT向けは前四半期から最終需要は同水準で推移したことから、在庫水準も「おおむねフラットで着地した」(同社)。なお第4四半期では最終需要の減少を見込んでおり、在庫保有水準は微増となる見通しだという。
自動車向けについては、第2四半期末で想定した在庫水準までの拡充が完了。第3四半期では最終需要が想定より強かったこともあり、在庫保有水準は想定より減少して着地した。第4四半期は「最終需要を伸長に見つつ出荷を継続し、第3四半期で少し減らし過ぎた分を戻すという考えでオペレーションを行う」としている。
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