今回、PCASとZebraを連携させることで、AIによる画像処理速度(推論による物体検出速度)を4倍以上に高速化した。具体的には、物体検出用のディープラーニングモデル「YOLOv4」で画像処理速度(推論の性能)を評価したところ、Zebra単体では14fps(フレーム/秒)だったが、PCAS×Zebraでは68fpsまで高速化した。
さらに、同技術はAIモデルを任意のレベルで圧縮(軽量化)できるので、組み込み機器やサーバなど、用途に応じて柔軟にFPGAを選択できることも特長だ。
今後は、前述したOKIアイディエスが展開するFPGA設計開発サービスにPCASを連携させ、顧客が求めるエッジAI性能に、より柔軟に対応していくことを目指す。これにより、開発期間とコストを大幅に短縮できると3社は主張する。
Mipsologyのジャパンカントリーマネジャーを務める藤谷つぐみ氏は「AIモデルの圧縮は手戻りが非常に大きい。推論精度は、AIモデルを(デバイスなどの)実物で動作させて初めて分かるため、AIモデルを圧縮するには学習を何度もし直す必要があるからだ。数年たってもPoC(Proof of Concept)から先に進まず、プロジェクトを中止してしまうケースもある」と述べ、PCASとZebraの組み合わせが、開発期間の短縮に貢献することを示唆した。
記者説明会で行われたデモでは、ディスプレイに取り付けたUSBカメラで説明会会場内を撮影し、人物やペットボトル、椅子などを検出する速さを比較した。未圧縮モデルをCPUに実装した場合は、人/物体検出に時間がかかったが、PCASとZebraを組み合わせた場合は素早く検出した。なおAIモデルにはYOLOv4を使用。PCASでは、「同AIモデルが80%圧縮されている」(OKI)という。
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