名古屋大学未来材料・システム研究所の天野浩教授らと旭化成による共同研究グループは、波長274nmの深紫外半導体レーザー(UV-C LD)で室温連続発振に成功した。
名古屋大学未来材料・システム研究所の天野浩教授らと旭化成による共同研究グループは2022年11月、波長274nmの深紫外半導体レーザー(UV-C LD)で室温連続発振に成功したと発表した。ヘルスケア機器やレーザー加工機などの用途に向け、2025年度の実用化を目指す。
共同研究グループは2019年に、高品質のAlN(窒化アルミニウム)単結晶基板と分極ドーピング法を用いてUV-C LDを開発し、室温パルス電流駆動によるUV-C帯域の発振に成功した。ただ、実用化に向けては室温連続発振が不可欠といわれており、連続発振を可能にするための研究を継続して行ってきた。
共同研究グループは今回、UV-C LDのメサストライプ端に発生する結晶欠陥に着目した。結晶欠陥が発生する原因を解析した結果、メサストライプへの応力が局所に集中するためだと分かった。そこで、メサストライプの構造を、これまでの垂直型から傾斜型に変更。これによって結晶欠陥を抑制することに成功した。
同時に、光学設計の改良と薄膜結晶成長条件の改善にも取り組んだ。この結果、閾値電流密度は4.2kA/cm2となり、閾値電圧は8.7Vへと大幅に改善することができたという。これによって、レーザー発振に必要となる駆動電力は、従来の10分の1と大幅に低減することが可能となり、電池駆動も可能な室温連続発振を実現した。
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