2022年12月14日から開幕した「SEMICON Japan 2022」(2022年12月14日〜16日、東京ビッグサイト)では、フレキシブルエレクトロニクスに関する展示「FLEX Japan 2022」も開催された。
2022年12月14日〜16日に開催した展示会「SEMICON Japan 2022」(会場:東京ビッグサイト)では、フレキシブルエレクトロニクスに関する展示「FLEX Japan 2022」も開催された。
フレキシブルエレクトロニクスとは、プラスチックや紙、フレックスガラスなどの伸縮自在な基板に実装された電子デバイスで、軽い、薄い、曲げられるといった特長を持つ。グローバルインフォメーションが2022年2月に発表した調査では、フレキシブルエレクトロニクス市場は2020年に253億米ドルの規模に到達し、2021年から2026年までは11.7%のCAGR(年平均成長率)で拡大すると予想されている成長産業だ。
会場ではダイセル、ミクロ技術研究所、東洋紡などの7社がフレキシブルエレクトロニクス向けの技術を展示した。
ダイセルは曲面基材やプラスチック基材にも印刷可能な導電性銀ナノ粒子インク「Picosil」を展示した。
「Picosil」は直径20nmの銀ナノ粒子を使った印刷インクで、既存の汎用銀ペースト(粒子の直径が1μm以上)よりも約50倍小さいため、既存の汎用銀ペーストでは難しかった曲面への立体印刷や、熱に弱い基材への低温印刷(100℃以下)もできる。また、パルスオキシメーターのPETフィルムに配線した実証実験では、配線後でも1万回超の折り曲げ試験をクリアした。
同社は「今後は樹脂やフィルム、ガラスなどへの印刷を想定し拡販していきたい」としている。
ミクロ技術研究所はガラスを任意の厚みに加工するスリミング加工技術と、0.05mmの超薄型ガラス基板に密着強度の高い電極を書き込むセミアディティブ銅めっき法を使った評価サンプルを展示した。
担当者は「長年培ったガラス加工技術により、高耐熱ガラスや高耐性ガラス、柔軟性の高いガラスなどさまざまな素材を加工できる」とした上で、「ガラスの加工技術はあるが半導体製品そのものを製造するわけではないので、この技術を生かせる方法を模索している。展示会経由で引き合いはあるので、検討を進めて2024年ごろまでの製品化/販売開始を目指す」と続けた。
東洋紡は室内/低照度向け有機薄膜太陽電池(OPV:Organic Photovoltaics)を展示した。
従来のOPVは発電のために十分な光が必要なため、室内/低照度環境では電力の変換効率が大幅に低下していた。
今回展示したOPVは50%の光を遮った場合でも発電が可能で、高齢者の見守りサービスなど室内で継続的に使用する用途などを想定している。同社は「現状はガラス基板だが、将来的には軽くて薄いPETフィルム基板などフレキシブル用途に展開し、特に温湿度センサーや人感センサーなどのワイヤレス電源用途に注力していく」と述べた。
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