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2022年世界半導体売上高ランキング、メモリ低迷もSamsung首位市場の成長率は1.1%増にとどまる

Gartnerは2023年1月17日(米国時間)、2022年の世界半導体売上高(速報値)が前年比1.1%増の6017億米ドルとなったと発表した。ベンダー別でみると、Samsung Electronicsが2年連続で売上高トップとなった。

» 2023年01月17日 21時26分 公開
[永山準EE Times Japan]

 Gartnerは2023年1月17日(米国時間)、2022年の世界半導体売上高(速報値)が前年比1.1%増の6017億米ドルとなったと発表した。ベンダー別でみると、Samsung Electronics(以下、Samsung)が2年連続で売上高トップとなった。

1〜3位は前年同様、Appleが新たにトップ10入り

 Samsungの2022年の半導体売上高は655億8500万米ドル。DRAMやNAND型フラッシュメモリの売り上げが減少したことを主因に前年比10.4%減となったものの、市場シェア10.9%で首位を維持した。IntelはSamsungに及ばず、2年連続で2位となった。lntelの半導体売上高は583億7300万米ドルで市場シェアは9.7%。民生PC市場の大幅な落ち込みや、主力のx86プロセッサ事業での激しい競争の影響を受け、前年比19.5%減のマイナス成長となった。

 ランキングを見ると、1〜3位はSamsung、Intel、SK hynixと続き2021年と同順位を維持する結果となった。4位はQualcomm、5位はMicron Technology(以下、Micron)。Micronは前年比3.7%減のマイナス成長となった一方で、Qualcommは同28.3%増と大きく成長しており、2021年の順位を入れ替える形になった。

 2021年に前年比68.3%増の急成長で10位にランクインしたAMDは、2022年も前年比42.9%増と力強い成長を続け、7位まで順位を上げた。また、同20.4%増の成長を見せたAppleが新たにトップ10入りしている。一方でMediaTekが2021年から順位を2つ下げ9位となったほか、同年9位だったNVIDIAがトップ10から姿を消した。

 なお、半導体ベンダー上位25社の売上高を合計すると、2022年は前年比2.8%増となり、市場全体の77.5%を占めているという。

世界半導体メーカー別売り上げランキング トップ10【速報値】(単位:百万米ドル)
2022年
順位
2021年
順位
企業名 2022年
売上高
2022年
市場シェア
2021年
売上高
成長率
(2021年比)
1 1 Samsung Electronics 65,585 10.9% 73,197 ▼10.4%
2 2 Intel 58,373 9.7% 72,536 ▼19.5%
3 3 SK hynix 36,229 6.0% 37,192 ▼2.6%
4 5 Qualcomm 34,748 5.8% 27,093 28.3%
5 4 Micron Technology 27,566 4.6% 28,624 ▼3.7%
6 6 Broadcom 23,811 4.0% 18,793 26.7%
7 10 AMD 23,285 3.9% 16,299 42.9%
8 8 Texas Instruments 18,812 3.1% 17,272 8.9%
9 7 MediaTek 18,233 3.0% 17,617 3.5%
10 11 Apple 17,551 2.9% 14,580 20.4%
その他 277,501 46.1% 271,749 2.1%
合計 601,694 100% 594,952 1.1%
出典:Gartner(2023年1月)

メモリは前年比10%減、非メモリはアナログ/ディスクリートが好調

 デバイス別にみると、2022年の半導体売上高の約25%を占めるメモリは、前年比10%減と最も不調だった。Gartnerは、「電子機器メーカーが需要増を見越して保有していたメモリ在庫を2022年半ばから消化し始めたことから、メモリ市場は需要の大幅な崩壊の兆しを見せていた」と説明。「現在、状況はさらに悪化し、多くのメモリメーカーが2023年の設備投資の削減を発表、一部は在庫レベルを下げ、市場のバランスを取り戻そうとウエハーの生産を削減している」としている。ランキングにおいても、Samsungのほか3位のSK hynix、5位のMicronと主要メモリメーカー各社がそれぞれ、前年より売り上げを落としていることが分かる。

 一方で非メモリ分野の売り上げは前年比5.3%増と成長を見せた。成長率はデバイスカテゴリーで大きく異なり、最も強い伸びを示したのはアナログで前年比19%増、次に強かったのはディスクリートで同15%増となった。Gartnerは、「アナログとディスクリートの成長は、自動車の電動化、産業オートメーション、エネルギー転換などの長期的な成長トレンドに支えられた自動車および産業用エンドマーケットからの強い需要によるものだ」と分析している。

 Gartnerのアナリスト、Andrew Norwood氏は、「2022年は多くの半導体が不足し、多くの市場で電子機器の生産が減少したことから始まった。その結果、各メーカーは半導体の在庫を蓄えることで不足を回避する戦略を取った。しかし、同年後半には、高インフレ、金利上昇、エネルギーコスト上昇、中国のロックダウンなどの負担により世界経済が減速し、多くのグローバルサプライチェーンに影響を及ぼした。消費者も支出を減らし、PCやスマートフォンの需要が悪化、さらに企業も世界的な景気後退を見込んで支出を減らし始め、これら全てが半導体全体の成長に影響を及ぼした」と述べている。

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