ルネサス エレクトロニクスの2022年12月期(2022年度)通期業績(Non-GAAPベース)は、売上高が1兆5027億円(前年比51.1%増)、営業利益が5594億円(同2628億円増)と増収増益で、各項目で過去最高となった。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2023年2月9日、2022年12月期(2022年度)通期決算を発表した。業績(Non-GAAPベース)は、売上高が1兆5027億円(前年比51.1%増)、営業利益が5594億円(同2628億円増)と増収増益だった。
営業利益率は37.2%(同7.4ポイント増)、純利益は3773億円(同1551億円増)。各項目で過去最高となった。なお、為替影響を除いた純利益は4292億円(同1828億円増)としている。2021年8月31日に買収が完了したDialog Semiconductorの連結効果や円安効果に加え、自動車向けおよび、データセンターなどのインフラ向けが好調だった。
同社は2023年度第1四半期の業績予想も発表した。売上高は前四半期比9.3%減(為替影響を除いた場合、同3.3%減)の3550億円(±75億円)、売り上げ総利益率は、同1.5ポイント減の54.5%、営業利益率は同2.2ポイント減の32.5%と予想している。
自動車向け事業では40nmプロセスのマイコンを中心とした強い需要が継続、チャンネル在庫の拡充も進め成長を見込むが、産業・インフラ・IoT(モノのインターネット)向け事業ではPC、モバイル、コンシューマー向けを中心に調整局面が続くことから「過剰に流通在庫を抱えないよう慎重な運営を行う」(同社)とし、売り上げの減少を予測している。売り上げ総利益率については、生産調整に伴う生産回収の減少およびファウンドリーコストや原材料、電力費などの値上げ影響を見込んでいる。
なお、PC関連の調整局面について同社社長兼CEO(最高経営責任者)の柴田英利氏は、「第2四半期ごろに底を打つという見方が支配的だ」と述べた。また、産業・インフラ・IoT向けの中でも産業向けは、脱炭素化関連、燃焼式ボイラーから電気式ヒートポンプへの転換などを背景に引き続き堅調とみており、柴田氏は、「全体のボリュームや金額でいえば小さいが、産業向けのチャンネル在庫は薄い。(前工程の加工を終えたウエハーを備蓄する)ダイバンクの観点でも足りないものは結構あり、産業向けはどんどん作っていかないといけない状況にある」と述べた。
また、データセンターについては、「データセンターそのものの投資はおそらく踊り場だ。われわれの場合、MPU(マイクロプロセッサ)が次の世代に進むに伴い構造的なコンテンツの増加が見込めているが、それが少しプッシュアウトされていることも相まって、以前のような勢いが継続するとは今のところ見えていない」と見解を示した。
この産業およびデータセンターは、ルネサスにとって「構造的な追い風で、成長をドライブするものだ」(柴田氏)としている。柴田氏は、「データセンターではAMDとIntelによるMPUの世代交代。特に現在AMDがシェアを拡大しているが、足元でいえばAMDがシェアを増すとわれわれのパイが増えるようなビジネスになっている」と語り、期待をみせていた。
2023年度第1四半期の為替感応度は、米ドルが1円変動するにつき売上高が17億円、営業利益が7億円。想定レートは1米ドル130円としている。
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