販売チャンネル在庫は、自動車向け、産業・インフラ・IoT向けのいずれも前四半期から減少し、WOI(Weeks of Inventory)は7週強で着地。新開氏は、「両セグメントとも需要動向を慎重に見ていて、在庫が過剰にならないよう出荷調整をしている」と述べた。自動車向けでは、前四半期の減少分を戻す規模の出荷をしたものの、「最終需要が当初想定より上振れた」と説明。国内を中心に、2023年度第1四半期での増産に向け需要が高まったことで、在庫保有水準が減少する結果となった。このため第1四半期では、前四半期で減らし過ぎた分の在庫を補充し、在庫保有水準増加することを見込んでいる。
柴田氏は、「40nmのマイコンは作るそばから使われていくという状況でタイトだ」としつつも、「全体感として需要に追い付いていないということではない」と説明。「サプライチェーンに対する見方が変わったことにも起因し、各所に在庫を持っておく必要があると思っている。第1四半期については現在われわれが想定しているチャンネルの先の需要に対し、少し多めに供給していこうと考えている」と方針を示した。
産業・インフラ・IoT向けは、第1四半期で在庫自体は微減となるものの、需要の減少によってWOIは増加することを見込んでいる。
2022年度第4四半期のウエハー投入量ベースの前工程稼働率は80%強だった。年末年始に各工場の定期メンテナンスを実施したため、稼働日が減少した。2023年度第1四半期は、稼働日の減少や生産調整の影響でさらに数ポイント減少する見込みだという。
足元では米国による対中規制が強化されるなど、地政学的リスクへの懸念が高まるが、柴田氏は、「地政学的緊張によってビジネスが阻害されることのないような手段を取るべく、検討は進めている」と言及。ただ、ファブライトの方針に変更はなく、「ファウンドリー、OSATを中心としたパートナーと話しながら、例えば台湾の企業でも積極的に台湾以外のキャパシティーを拡充しているので、そうした動きに歩調を合わせ、一歩一歩足を進め、サプライチェーンのレジリエンスを高めていこうと考えている」と述べた。
また、新開氏は、足元の調達の状況についても説明。ファウンドリー、OSAT、原材料いずれの領域でも、「全体感としては、需給のタイト具合は従前に比べ若干落ち着いた」という。ただいずれも需給が緩和された部分とタイトな部分でまだらな状態といい、例えばファウンドリーであれば8インチ製品やマチュアノードの製品が、「キャパシティーが限定的でまだまだ人気が高い」と説明していた。
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