AIと心電センサーで手術中の医師の感情を可視化:横浜国立大らが開発
横浜国立大学とミルウスは2023年3月31日、心電図センサーとAIを用い、手術中の医師の感情変化を可視化するシステムを開発したと発表した。熟練医師の感情を分析することで、研修医教育に役立つと期待される。
横浜国立大学と北海道大学発ベンチャーのミルウスは2023年3月31日、心電図センサーとAI(人工知能)を用いることで、手術中の医師の感情変化を可視化するシステムを共同開発したと発表した。熟練医師の感情コントロールを分析することで、経験の少ない研修医の教育に使える有効なデータになると期待される。
同システムは、医師の胸に付けた心電図センサーの情報と、AIによる感情推定を組み合わせたもので、Windows PCのアプリとして動作する。アプリでは、心電図センサーが取得した波形情報や、手術中に記録した術野の動画、そしてその時点の喜怒哀楽といった感情の動きを感情円環図上に表示する。また、感情の起伏、覚醒度、快適度などを時系列で表示していて、カーソルを移動させることによって医師や専門家は、希望するタイミングの感情を1分単位で確認が可能。これによって、経験豊富な医師でも緊張する手術のステージを把握できる。
AI感情測定システムの動作例。感情の変化を時系列で示した部分(図下部)を見ると、手術開始時は、落ち着いた黄色主体だが、後半の術野が脳内に至る佳境段階では、緊張を表すオレンジ色が増えている[クリックで拡大] 出所:横浜国立大学
同研究グループは、今後についてリリースで、「感情推定技術は、認知症の早期発見や、(仮想空間などの)アバターの感情表現など広範囲での応用が想定される。一方、感情は主観であり、利用場面や個性によって異なる部分もある。応用分野ごとに専門家との共同研究を推進し、センシングやAIアルゴリズムなどの改良/最適化を図る」と述べている。
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