村田製作所は、2023年3月期(2022年度)の決算を発表した。売上高は前年比6.9%減の1兆6868億円、営業利益は同29.8%減の2979億円で、減収減益となった。
村田製作所は2023年4月28日、2023年3月期(2022年度)の決算を発表した。売上高は2021年度比6.9%減の1兆6868億円、営業利益は同29.8%減の2979億円となった。スマートフォンやPC向け需要が減少するとともに、生産調整に伴う生産ラインの操業率低下などが影響し、減収減益となった。2024年3月期(2023年度)業績予想も、「民生市場向け部品の需要回復は緩やか」と判断、減収減益の見通しである。
2022年度の売上高は、モビリティ向けのコンデンサーや、パワーツール向けリチウム二次電池が増加した。一方で、スマートフォン向け高周波モジュールやコネクティビティモジュール、表面波フィルター、コンピュータ向けコンデンサーなどが減少した。
事業別/用途別セグメントの売上高は、リチウムイオン二次電池がパワーツール向けで増加したこともあり、「エナジー・パワー」が前年比18.9%増となった。一方で、コンピュータやスマートフォン向け需要は一部製品を除き減少。「高周波・通信」が14.1%減、「インダクター・EMIフィルター」が10.4%減と2桁のマイナス伸長、「コンデンサー」も6.3%減となった。
2023年度の業績については、売上高が2022年度比2.8%減の1兆6400億円、営業利益は同26.1%減の2200億円と予測した。モビリティ向けのコンデンサーが増加する。しかし、「円高の進行」や「民生市場向け製品の伸び悩み」「コネクティビティモジュールの事業ポートフォリオ見直し」あるいは「製品価格の値下がり」などの影響で減収減益となる見通し。なお、これまでは米国会計基準を適用してきたが、2023年度より国際財務報告基準(IFRS)に変更した。
設備投資額は、生産能力の増強や生産棟の建設を中心に、全体で2200億円を計画している。2022年度に比べると119億円の増額となる。投資先について村田恒夫会長は、「サプライチェーンの観点から中国に加え、フィリピンやタイへの投資も行うことになる」と話す。
事業環境としては、「スマートフォン市場は2023年夏ごろに回復」「値下げ圧力が高まる」「パワーツール市場の在庫調整は2023年度下期にやや改善」と想定している。特に、スマートフォン市場については今後、中国や韓国市場で需要回復が見込まれるものの、市中在庫が存在することやローエンドモデルの比率が高まっていることから、「出荷台数の増加ほどはビジネスの回復が望めない」と厳しい見方だ。
決算説明会では、在庫調整についても触れた。同社は2022年度上期に3.8カ月分の在庫を抱えた。このため2022年度下期より生産量を抑え、在庫削減に乗り出した。「コンデンサーの生産ラインにおける操業度は、2022年度第4四半期に80%まで下げた。これを2023年度上期には80〜85%へ、2023年度下期には85〜90%まで、それぞれ戻していく。この結果、2023年9月には2.9カ月分の適正在庫水準になるだろう」と話す。
村田会長は、「2023年度も厳しい事業環境が予想される。こうした中でも自動車の電装化は進展し、5G(第5世代移動通信)インフラ整備は着実に進む。これらの事業機会を確実につかむことで、飛躍を遂げたい」と述べた。
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