村田製作所は2022年11月30日、投資家/アナリスト向けの説明会を行い、同社社長の中島規巨氏が、2030年までの市場展望や中長期の事業戦略を語った。中島氏は説明の中で、「足元では厳しい事業環境が見込まれるが、中長期的には当社の事業機会は拡大していく。その機会をモノにできる当社の底力を感じ取ってほしい」と語った。
村田製作所は2022年11月30日、投資家/アナリスト向けの説明会を行い、同社社長の中島規巨氏が、2030年までの市場展望や中長期の事業戦略を語った。中島氏は説明の中で、「足元では厳しい事業環境が見込まれるが、中長期的には当社の事業機会は拡大していく。その機会をモノにできる当社の底力を感じ取ってほしい」と語った。
説明会ではまず、中島氏が2030年に向けたエレクトロニクス領域の拡大に関する展望を紹介。現在5G(第5世代移動通信)の普及が進むが、2030年代には6Gの登場のよって、通信のインフラがより一層進展し、あらゆるものが通信でつながる世界が実現することが予想されるとした。ここではAI(人工知能)によって大量の情報が遅延なくサイバー空間とフィジカル空間の間で処理されることで、両空間が密に連携するシステムの実現が期待されるとし、中島氏は「こうした技術革新を受け、エレクトロニクス領域がますます拡大し、ムラタの事業領域も拡大していく」とした。
通信市場に関して、ネットワーク面では処理能力や通信能力の高速通信への対応が必要になることから、通信システムやネットワークインフラの安定化を支える高性能/高信頼性の製品および、接続端末増加や処理能力向上による部品需要の増加を見込んでいる。
デバイス面では「将来的には表示機能デバイスや通信モジュール、電池のみあればエッジデバイスとして機能することが予想され、現在主流のスマートフォンも不要になる可能性がある」と説明。ウェアラブル機器の普及が進むなかで携帯性や装着性向上のため、小型化や高信頼性への要求が高まり、積層セラミックコンデンサー(MLCC)をはじめとした同社の小型製品、各種センサーやモジュールの需要の高まりを見込む。
さらに、大容量/高速通信では消費電力の増加や電力ロスから生じる熱対策も課題になるため、省電力技術や高効率技術の重要性が増すが、中島氏は「ここでは2021年に買収したEta Wirelessの『Digital ET技術』やResonantの『XBAR技術』が活用できるほか、樹脂多層基板『メトロサーク』の優位性も発揮できると考えている」と述べた。
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