東北大学の研究グループは、フェムト秒レーザーを用い、グラフェン膜を100nm以下というナノ精度で加工することに成功した。レーザー照射の条件を調整すれば、数ナノメートルの細孔および原子レベルの欠陥形成などに応用できるとする。
東北大学の研究グループは2023年5月、フェムト秒レーザーを用い、グラフェン膜を100nm以下というナノ精度で加工することに成功したと発表した。レーザー照射の条件を調整すれば、グラフェン膜の表面洗浄や、数ナノメートルの細孔および原子レベルの欠陥形成などに応用できることも明らかにした。
研究グループはこれまで、フェムト秒レーザーを用い、膜厚が5〜50nmのシリコン系薄膜を微細加工する技術を開発してきた。今回は、この技術を原子1層分のグラフェン膜に適用した。実験では、照射するレーザーのエネルギーと回数を制御した。この結果、用いたレーザー波長(520nm)よりも小さい、直径70nm程度の微細穴から、原理的には開口が1mm以上の穴まで、自在に加工できることが分かった。
穴が開かないような低いエネルギーでレーザー照射した領域を、電子顕微鏡で観察したところ、グラフェン膜表面の汚染物が除去されていることを確認した。また、グラフェン膜に直径10nm以下の細孔や、炭素原子数個が欠損した原子レベルの欠陥が多数形成されていることも判明した。これにより、レーザーを用いて細孔や欠陥の形成を制御できることが明らかとなった。
今回の研究成果は、東北大学多元物質科学研究所の上杉祐貴助教や小澤祐市准教授、佐藤俊一教授、大学院工学研究科知能デバイス材料学専攻の門口尚広大学院生(研究当時)、同専攻の小林哲郎大学院生、金属材料研究所の長迫実助手らによるものである。
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