Nordic Semiconductorは「ワイヤレスジャパン 2023」で、最新のBluetooth Low Energy対応SoC「nRF54シリーズ」を紹介した他、既存のソリューションを展示した。Nordicは、「無線通信機能をすぐに実装できるよう、ソリューションを提供することがNordicの役割」だと強調する。
Nordic Semiconductor(以下、Nordic)は「ワイヤレスジャパン 2023」(2023年5月24〜26日、東京ビッグサイト)で、Bluetooth Low Energy(BLE) 5.4対応のワイヤレスSoC(System on Chip)「nRF54シリーズ」や、既存のワイヤレスSoCの評価ボード、採用事例などを紹介した。
nRF54シリーズは2023年4月に発表された新製品で、「nRF51シリーズ」「nRF52シリーズ」「nRF53シリーズ」に続く第4世代品となる。BLE 5.4の他、LE Audio、Bluetooth Mesh、Thread、Matterもサポートするマルチプロトコル対応のSoCだ。
nRF54シリーズの第1弾となる「nRF54H20」は、Armの「Cortex-M33」コアを2つ(最大動作周波数は320MHz)、RISC-Vコアを2つ搭載する。1Mビット/秒(bps)のBLE信号受信時に、−100dBmと高い受信感度を実現した。送信電力は最大10dBmである。高速USB(480Mbps)、I3C、CAN FDコントローラー、14ビットA-Dコンバーターなどの各種インタフェースも備える。既存のSoC「nRF5340」に比べ、2倍の処理能力を実現する他、PSA(Platform Security Architecture)認証レベル3に対応する設計となっていて、セキュリティ面も強化している。
NordicのVP of Sales & Marketing - APACを務めるBjørn "Bob" Brandal氏は、「nRF54シリーズは当社が長年開発に取り組んできた製品で、既存のシリーズに比べ処理能力が向上し、消費電力は低くなっている。マルチプロトコルに対応しているので、無線通信が必要なあらゆるユースケースに使える」と述べる。
現在、nRF54H20は、一部の顧客にサンプル品を提供中だ。
Nordicは、BLE向けワイヤレスSoCの世界市場でシェア40%を獲得している(2022年時点)。Brandal氏は、「nRFシリーズなどのBLE対応のSoCをはじめ、Nordicは、Wi-FiからMatter、Threadまでさまざまな規格に対応するSoCをそろえており、それは競合にはない、当社の強みだ」としながらも、「SoCなどのチップは、あくまで当社のソリューションの一部だ。Nordicは“チップカンパニー”ではなく、”ソリューションカンパニー”である」と強調する。
それは、同社の製品群からも読み取れる。ワイヤレスSoCに加え、PMIC(パワーマネジメントIC)やクラウドサービス(「nRF Cloud」)までそろえているのだ。「さまざまなアプリケーションにすぐにワイヤレス通信機能を実装できるよう、ソリューションを提供することが、Nordicの役割だ」とBrandal氏は語る。
それ故、ワイヤレスSoCに関しても開発キットを充実させ、1つのSDK(ソフトウェア開発キット)でさまざまなワイヤレス規格に対応できるようにするなど、すぐにPoC(Proof of Concept)や機器設計を進められるような製品ポートフォリオをそろえている。
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