パワー半導体の世界市場は、2022年見込みの238億9000万米ドルに対し、2030年は369億8000万米ドル規模に達する見通しである。このうち、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体が17.4%を占める。矢野経済研究所が予測した。
矢野経済研究所は2023年5月、パワー半導体の世界市場(メーカー出荷金額ベース)を調査し、2030年までの市場予測を発表した。2022年見込みの238億9000万米ドルに対し、2030年は369億8000万米ドル規模に達すると予測した。このうち、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体が17.4%を占める見通しだ。
今回の調査では、パワーMOSFET/IPD(Intelligent Power Device)や、ダイオード、IGBT、パワーモジュール、バイポーラトランジスタ、SiCを用いたパワー半導体などを対象とした。調査期間は2022年10月〜2023年2月。
パワー半導体市場は、2021年第2四半期よりデバイスメーカーにおける受注残が増えた。これにより2021年の世界市場規模は、前年に比べ20.1%増の223億7000万米ドルとなった。2022年も受注は好調に推移したが、半導体製造に用いる装置や材料の需要ひっ迫などにより、パワー半導体の世界市場は前年比6.8%増の238億9000万米ドルにとどまる見通し。
2023年のパワー半導体世界市場については、前年比8.0%増の258億1000万米ドルと予測した。白物家電や新エネルギー向け産業機器、xEV(電動車)向けパワー半導体の需要拡大に期待する。その後も自動車分野では、「電動化」や「自動運転」などへの対応が進み、自動車1台当たりのパワー半導体搭載量はさらに増える見通しである。脱炭素社会の実現に向けた取り組みも、パワー半導体市場の拡大を後押しする。この結果、2030年には、369億8000万米ドルの市場規模に達すると予測した。
パワー半導体の中で、同社が注目するのは「SiCパワー半導体」である。2022年のSiCパワー半導体市場規模は、前年比13.2%増の14億6000万米ドルである。SiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)に加え、SiC-MOSFETの採用も進む。
特に、xEV用SiCパワー半導体は2020年より大きく成長している。これまで中心だったEV(電気自動車)用OBC(オンボードチャージャー)に加え、EV向け主機モーター駆動用インバーターへの採用も増えてきた。こうしたこともあり、2025年のSiCパワー半導体の世界市場を29億2000万米ドルと予測した。
SiCパワー半導体については、半導体メーカーも積極的に設備投資を行っている。これにより、製品の供給能力も拡大。SiCパワー半導体の世界市場は、2030年に64億5000万米ドルまで成長すると予測した。この金額はパワー半導体市場の17.4%を占める規模である。
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