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LittelfuseがドイツElmosの200mm工場を買収へパワー半導体の生産能力拡大へ

Littelfuseは、ドイツの車載半導体メーカーElmos Semiconductorの200mmウエハー工場を買収する契約を締結した。買収総額は約9300万ユーロで、取引は規制当局の承認を経て2024年12月31日までに完了する予定だ。

» 2023年06月29日 18時00分 公開
[永山準EE Times Japan]

 Littelfuseとドイツの車載半導体メーカーElmos Semiconductor(以下、Elmos)は2023年6月28日(米国時間)、Littelfuseがドイツ・ドルトムントに所在するElmosの200mmウエハー工場を買収する契約を締結したと発表した。買収総額は約9300万ユーロで、取引は規制当局の承認を経て2024年12月31日までに完了する予定だ。

中国系企業への売却を阻止された工場に新たな買い手

 Elmosは主に車載向けのモータードライバーやLEDドライバー、超音波測距センサーなどを開発、製造、販売する半導体メーカー。今回、売却契約を結んだ工場は350nmプロセスの車載用半導体を製造するレガシー半導体工場だ。ファブレス化を目指すElmosは2021年12月にも中国SaiMicroElectronics傘下でスウェーデンのMEMS専業ファウンドリーSilex Microsystems(以下、Silex)に同工場を総額約8500万ユーロで売却する契約を締結していた。しかし、2022年11月、ドイツ連邦政府は、「ドイツの秩序と安全保障を脅かすと判断した」などとして、同契約を不許可とする決定を下していた。

 今回の契約についても、ドイツ連邦経済・気候保護省を含む規制当局の承認が必要となる。Elmosは、2024年12月31日までに売却が完了する予定だと説明。ElmosのCEO(最高経営責任者)、Arne Schneider氏は、「今回の合意は、ドルトムントにおける半導体製造のマイルストーンであり、ハイテク拠点としてドイツをより強化するものだ。Elmosはファブレス企業として、ミックスドシグナル半導体のトレンドを生み出す革新のために、最先端技術をさらに活用していく」と述べている。

 Littelfuseは、今回の買収によって、再生可能エネルギー、エネルギー貯蔵、エレクトロモビリティの充電インフラなど、高成長アプリケーション向けのパワー半導体分野における能力を拡大する方針だ。なお、同工場の約225人の従業員もLittelfuseが引き継ぐ予定だ。

 Littelfuseの半導体事業担当上級副社長兼ゼネラルマネジャー、Chad Marak氏は、「今回の工場買収は、当社のパワー半導体における長期的成長戦略の重要な要素だ。同工場は、当社の現在の拠点を補完するもので、経験豊富なチームと効率的で高品質なウエハー処理オペレーションが加わることになる」と述べている。

 また、両社はElmosが同工場で製造されたウエハーの一定量を購入する2029年までの長期供給契約も締結した。Elmosは、「この長期契約は、当社が他のファウンドリーパートナーとの間で現在締結している供給契約を補完するもので、当社が計画中の顧客需要に対応するために必要な能力を確保するものだ」と説明している。

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