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76V動作対応の電圧検出器、ヒス幅も5〜50%で設定可能12/24V電源の産業機器向け

トレックス・セミコンダクターは、12V/24Vの高電圧電源ライン向け電圧検出器「XC6138」を販売開始した。ヒステリシス幅を5〜50%で設定可能で、センス端子は最大76Vで動作する。用途は、主に産業機器向けを想定している。

» 2023年07月24日 15時30分 公開
[半田翔希EE Times Japan]

 トレックス・セミコンダクター(以下、トレックス)は2023年7月21日、高耐圧センス端子分離 遅延付電圧検出器「XC6138」を販売開始したと発表した。

 XC6138は、12V/24Vと高電圧の電源ラインなどの監視に向けた製品で、センス端子は最大76Vで動作する。このため、分割抵抗を使わずに直接監視できるようになり、電源システムの低消費電力や省スペース化、信頼性の向上などに寄与するという。

 同社従来製品を使って高電圧検出を行う場合、低電圧向け製品に抵抗を組み合わせることで電圧を調整し、対応していたという。しかし、抵抗を組み合わせる場合、実装面積が大きくなったり、部品が増えるため故障リスクが増加したり、抵抗を製造する際に発生する性能のバラつきに影響されたりといった問題があった。

XC6138のサンプル XC6138のサンプル[クリックで拡大] 出所:トレックス

 XC6138は、ヒステリシス幅(以下、ヒス幅)を用途に合わせて検出電圧の5〜50%の範囲内で任意に設定できる。トレックス 製品企画・海外統括本部 製品企画部 製品企画拡販マーケティンググループの西川裕氏は、「ヒス幅は、一般的には5%で固定されていることが多い。しかし、電源起動時の電圧の振れを不具合として誤検知してしまう場合や、古い電源を使用している場合は電圧の揺れが大きくなる場合があるため、ヒス幅に余裕を持っておきたいという意見が寄せられていた。XC6138は、広い範囲でヒス幅を設定できるため、さまざまな電源ラインに対応できる」と語った。

 パッケージは、同社の従来品である低電圧向け電圧検出器と同じ「DFN1515-6A(1.5x1.5x0.38mm)」を採用していて、既に量産体制が整っているという。サンプルも36円(税込み価格)で提供可能だ。また、「SOT-25(2.8mm×2.9mm×1.3mm)」についても2023年8月中のリリースを予定している。アプリケーションは、産業機器分野向けを想定しているが、2026年を目標に車載グレード対応の製品も開発中だ。

XC6138の製品スペック XC6138の製品スペック[クリックで拡大] 出所:トレックス

 XC6138を開発した背景について、西川氏は、「トレックスは創業以来、小型かつ低消費電力の電源IC関連製品の開発/提供に注力してきた。結果、産業機器分野での採用が順調に増えたため、次の目標として同分野向け製品群の拡大を検討していた。産業機器分野では、高耐圧への要求は避けて通れないため、今回、高耐圧製品の第1弾としてXC6138を開発した」と説明した。「XC6138は、従来と同じ小型パッケージで、消費電流が0.5μA。小型かつ低消費電力というトレックスの特長を維持している。同製品の活用により、パッケージサイズを変えずに、故障や性能のバラつきに影響されるリスクを回避し、高い検出精度を実現できる」(同氏)

XC6138の活用イメージ XC6138の活用イメージ[クリックで拡大] 出所:トレックス

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