台湾の市場調査会社TrendForceによると、2023年秋の発売が見込まれるAppleの「iPhone 15」および「iPhone 15 Plus」で採用予定のソニー製新型CMOSイメージセンサー(CIS)および、チタン合金フレームの供給不足が懸念されているという。
台湾の市場調査会社TrendForceによると、2023年秋の発売が見込まれるAppleの「iPhone 15」および「iPhone 15 Plus」(いずれも仮称)で採用予定のソニー製新型CMOSイメージセンサー(CIS)および、チタン合金フレームの供給不足が懸念されているという。TrendForceが2023年7月21日(台湾時間)、調査内容をブログで公開した。
TrendForceによると、iPhone 15とiPhone 15 Plusには、ソニーが開発した、「フォトダイオードとトランジスタを分離し、従来の2層から3層に積層する新構造を採用した」(2層トランジスタ画素積層型CISを指していると思われる)4800万画素CMOSイメージセンサーを搭載予定だという。ただ、同製品はその新たな構造から歩留まり向上が大きな課題となっているといい、TrendForceは「ソニーは歩留まり向上のため生産能力増強に取り組んでいるが、供給状況は想定水準に達しておらず、デバイス全体の初期生産スケジュールに影響を及ぼしている」と説明している。
また、チタン合金フレームについても採用が予定されているが、感圧式ボタンの採用見送りおよびミュートスイッチの開口部における若干の調整が必要となっているという。これによって、サプライヤーは、生産ラインの再配置やセットアップおよび稼働時間の検証などを実施する必要性があるうえ、ステンレススチールと比べチタン合金の加工工程は複雑なため、生産リードタイムが長いのだという。
TrendForceは、「新型iPhone用のチタンフレームは現在、歩留まり率と供給の安定性が低い部品の一つであることを確認した」と言及。サプライヤーは、新型iPhoneの発売と供給に影響が出ないよう、生産能力を20〜30%拡大していると説明している。
TrendForceは、iPhone 15/15 Plus向けのCISおよびチタン合金フレームの供給制約を踏まえ、Appleが2023年第3四半期(7〜9月)、「iPhone15 Pro/Pro Max」の生産比率を上げると予測している。TrendForceはこの予測について、「楽観的なシナリオでは、この調整は異なるモデル間の生産比率をシフトさせるだけで、年間出荷実績には影響しない。われわれは現状ではこの可能性が高いとみている」と説明。一方、CISの歩留まり改善が困難な場合は、「2023年モデルのiPhoneの出荷台数が大幅に減少する可能性がある」とも指摘している。
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