DICは、PFAS不使用の界面活性剤「MEGAFACE EFSシリーズ」を開発した。同社の従来フッ素系界面活性剤と同等以上の性能を持つといい、半導体やディスプレイなどの用途において、フッ素系製品の代替品としての適用を期待しているという。
DICは2023年8月1日、有機フッ素化合物であるPFAS(パーフルオロキルおよびポリフルオロアルキル物質/per- and polyfluoroalkyl substance)不使用で環境配慮型の界面活性剤「MEGAFACE EFSシリーズ」を開発したと発表した。同社の従来フッ素系界面活性剤と同等以上の性能を実現し、半導体やディスプレイなどの用途におけるフッ素系製品の代替品としての適用を見込む。今後は日本を含めグローバルに事業を展開する予定で、電子材料や電気自動車(EV)、バッテリーなどをターゲットに、2030年には売上高50億円を目指すとしている。
フッ素系界面活性剤は、少量の添加で表面張力を下げ、乳化や界面活性を改善する特性を持ち、洗浄剤、コーティング、工業用品などさまざまな産業分野で広く使用されている。一方、昨今ではその使用による環境への潜在的リスクから欧米を中心にPFAS規制の議論が進行している。
PFASは半導体製造でもドライエッチング装置用の冷媒として欠かせない材料である。冷媒で高いシェアを持つ3Mが、2025年末までにPFASの製造から撤退すると発表した際は、半導体業界に大きな衝撃を与えた。
こうした背景から、PFASの代替品の開発が強く求められてきた。
DICはこうしたニーズへの対応としてPFASフリーの界面活性剤の開発に着手した。これまでのPFASフリー製品はフッ素系製品と同等の性能を持つことが困難だったが、同社独自の技術と環境に配慮した原料を採用した結果、MEGAFACE EFSシリーズはフッ素系製品と同等以上の高い表面張力低下能と均一塗布性(レベリング性)を実現したという。
DICは同製品について「既にフッ素系製品を使用する顧客からも高く評価されている。今後、世界で使用されているフッ素系界面活性剤の代替製品として、持続可能な産業活動の推進や環境リスクの低減への取り組みを進め、市場をリードしていく」としている。
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