ルネサス エレクトロニクスは2023年7月5日、Wolfspeedから10年間にわたりSiC(炭化ケイ素)ウエハーの供給を受ける契約を締結したと発表した。2025年のSiCパワー半導体量産に向け、150mm/200mmのSiCウエハーの安定供給を確保する。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2023年7月5日、Wolfspeedから10年間にわたりSiC(炭化ケイ素)ウエハーの供給を受ける契約を締結したと発表した。ルネサスは、「Wolfspeedから高品質なSiCウエハーの供給を受けることで、2025年に予定するSiCパワー半導体の量産開始に向け、大きく前進することになる」とコメントしている。
ルネサスは高崎工場(群馬県高崎市)にSiCパワー半導体の生産ラインを新設し、2025年に量産を開始する予定だ。今回の長期供給契約によって、Wolfspeedは同年から10年間にわたり、ルネサスに150mmのSiCウエハー(ベア/エピタキシャル)を本格供給することになる。さらに、Wolfspeedが米国ノースカロライナ州で建設中の、主に200mmウエハーを製造する新素材工場「John Palmour Manufacturing Center for Silicon Carbide」(以下、JP工場)の本格稼働後は、200mmのSiCウエハー供給も予定しているという。
ルネサスの社長兼CEO(最高経営責任者)である柴田英利氏は、「今回の契約締結によって、長期間にわたって高品質のSiCウエハーの安定供給を確保できた。これにより、ルネサスのパワー半導体の供給力が強化され、顧客の広範なアプリケーションに対応できるようになる。ルネサスは、急速に拡大するSiC市場において、キープレイヤーの一社として存在感を拡大していく」と述べている。
また、ルネサスは今回、Wolfspeedに20億米ドルの預託金を提供するとも発表した。この預託金は、JP工場の建設をはじめとする、Wolfspeedの設備投資計画に用いられることになる。
JP工場は、Wolfspeedが米国ノースカロライナ州チャタム郡において数十億米ドルをかけて建設中の新工場で、「最先端かつ世界最大」(同社)のSiC素材工場となる予定。同工場では、同州ダーラムにあるWolfspeedの既存拠点の10倍以上に相当する製造能力確保が見込まれるという。JP工場は2024年中に第一期工事が完了する予定だ。
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