スペインの光半導体メーカーKDPOFが、スペインでは初となる商用チップの製造施設を建設する予定だという。本稿の後半では、半導体やハイテク関連の投資を公表している主な国/地域の投資額をまとめている。
スペインの光半導体メーカーKDPOFの共同創設者でありCEO(最高経営責任者)を務めるCarlos Pardo氏は、米国EE Timesの取材の中で、スペインでは初となる商用チップの製造施設を建設する予定であることを明らかにした。デジタル分野における欧州地域の自立性の確立を目指して設立された、EC基金(European Commission fund)からの資金提供を受けるという。このKDPOFのケースは、EUを含む世界各国の政府が地域の自立を実現するために資金を提供している、数多くの取り組みの一つにすぎない。
Pardo氏は2023年6月、自社工場の建設資金として、90億米ドルのIPCEI ME/CT(マイクロエレクトロニクスおよび通信技術における欧州共通利益に関する重要プロジェクト:Important Project of Common European Interest[IPCEI]on Microelectronics and Communications Technologies)資金の一部を獲得した。同氏は、工場のパッケージング/テストの完全なオートメーション化に必要なコストを、5800万米ドルと見積もっている。
過酷な環境下で光ファイバーによる高速コネクティビティ技術を提供するサプライヤーであるKDPOFは、IPCEIの資金を、新しい製品シリーズの研究開発にも充てるとしている。それが、新工場で最初に生産される製品となる見込みだ。
Pardo氏は、「われわれは、超高速を実現する新世代の製品を開発する予定だ。現在は、自動車業界向けに1Gビット/秒(bps)通信用の光トランシーバーを製造しているが、次世代品は最大25Gbps対応となるため、高信頼性かつ低コストの光通信システムの実現に向け、大きく前進することになる」と述べている。
現在、米中間の冷戦状態が激化する中、輸入半導体への依存度を下げるために数多くの基金が世界規模で設立されている。IPCEI基金もその中の一つだ。
各国/地域の政府は現在、自国のハイテクコンピューティング/通信のニーズに対応すべく、さらなる自立に向けた取り組みを進めている。次ページからそれらの取り組みの一部を紹介しよう。
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