JDI、照明の配光特性を制御する「LumiFree」を量産へ:年間100億円の売上高を目指す
ジャパンディスプレイは、液晶技術を用いて照明の光の広がり方を自在に制御可能にする「LumiFree」の量産出荷を2023年7月から開始した。同社はLumiFreeの事業で、2026年度には年間100億円以上の売上規模を目指す。
ジャパンディスプレイ(以下、JDI)は2023年7月31日、照明(LED光源)の光の広がり方(以下、配光特性)を自在に制御可能にする「LumiFree」の量産出荷を2023年7月から開始したと発表した。併せて、2022年9月から実施していた国内向けのサンプル出荷に加え、海外向けのサンプル出荷も開始した。LumiFreeにより、必要な時間/場所に必要な量の光を届けることが可能になるので、新しい照明演出による価値創出や、過剰な照明の利用により生じている光害(ひかりがい)の改善などにつながるとする。
「LumiFree」のイメージ[クリックで拡大] 出所:JDI
LumiFreeは、同社が液晶分野で培った「バックプレーン技術」および「フロントプレーン技術」を応用した製品で、同社がパートナー企業と新開発した液晶材料を使用している。同製品は、照明器具に組み込むことにより液晶の駆動で光の屈折率を調整し、照明に使われているLED光源の配光特性を制御する。配光特性は、縦方向と横方向の2軸で個別設定できるため、使用場面に合わせて、円だけでなく縦長/横長の楕円などの形状に変更できる。
配光特性の制御図(左)、調整した光のイメージ(右)[クリックで拡大] 出所:JDI
同社の担当者は「今回、JDIがこれまで磨いてきた液晶技術を用いて、ディスプレイ以外の用途としてLumiFreeを開発し、照明業界の開拓につなげられた。今後は、LumiFreeを液晶ディスプレイのように、世界を大きく変える新しい産業/デバイスまで昇華できるよう推進していきたい」とコメントした。同社は、LumiFreeの販売目標として、2026年度に年間100億円以上の売上規模を目指している。
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