凸版印刷は、「第15回 オートモーティブ ワールド」(2023年1月25日〜27日、東京ビッグサイト)に出展し、“平行”に浮き上がる非接触タッチパネルの12型品や、遮光特性を持つ車載用の黒色調光フィルムを展示した。
凸版印刷(以下、凸版)は、「第15回 オートモーティブ ワールド」(2023年1月25 〜27日、東京ビッグサイト)に出展し、開発中の“平行”に浮き上がる非接触タッチパネルの12型品や、遮光特性を持つ車載用の黒色調光フィルムを展示した。
凸版は、薄型空中タッチディスプレイ「La+ touch(ラプラスタッチ)」の大型12.1型モデルを首都圏で初めて展示した。同製品は、何もない空間に映像を結像し、映像の位置に合わせてセンサーが指の位置を検知することで、非接触での操作を可能とする空中タッチディスプレイだ。
最大の特長は、凸版が「世界で初めて」(同社)開発した、パネルと平行に映像を出現させる技術を採用した点だ。同技術によって、パネルに対して画像が約90度に出現するような既存製品と比較し50%の薄型化や小型化を実現したとしている。
同製品の7インチモデルは、高さ234.3×幅252.4mm×奥行59.3mmの薄型で、ディスプレイ解像度は480×800ピクセル、浮き出し幅は20〜30mmで調整できる。同モデルは、既に2021年から量産を開始していて、「東京ミッドタウン八重洲」のオフィスフロアのエレベーターホールでの採用実績もある。
今回展示した12インチモデル(開発中)は、高さ184.5×幅246mmを想定していて、解像度もさらに向上する予定だ。今後は、衛生管理が重要な食品メーカーや工場、銀行のATMへの導入を目指している。
この他、凸版は、スイッチ一つで透明/不透明の切り替えができる液晶調光フィルム「LC MAGIC」の黒色グレードを初展示した。
LC MAGICは、同社がディスプレイ事業で培った液晶技術を応用開発したもので、電気のオン/オフで瞬時に透明と不透明の切り替えが可能な液晶調光フィルムだ。同社は透明と白色とが切り替わる製品を開発し既に提供しているが、自動車の高級な質感のデザインに合う黒色モデルは技術的難易度の高さから、これまで製品化が困難だったという。
同社は今回、製品の層構造内に液晶をランダムに配置させることで、電源オフ時には95%の可視光線を遮断する黒色にすることを実現したという。そして、電源オン時(通電時)には、液晶が均衡に配向され、液晶と高分子の屈折率が一致するため、可視光を最大43%通して透明状態になるという。これは、一般的な乗用車のリアガラスにおける標準仕様の透過率と同等だ。
同製品には、スイッチがオフ時に不透明、オン時に透明になる「ノーマルモード」モデルと、オフ時に透明、オン時に不透明になる「リバースモード」の2種類がある。ノーマルモードは、会議室など使用時に室内を隠したい場合に使用し、リバースモードは、車など停車時に中に人がいるかどうかを確認したい場合に使用する想定だ。今後は、オフィスの会議室や車の窓の他、病院のICU(集中治療室)などへの導入を目指している。
担当者は、「凸版が創業から約120年間で培ってきた微細加工技術は、エレクトロニクス分野でも使われている。(凸版は)『印刷会社』のイメージが強いと思うが、この展示を通じてエレクトロニクス分野でも凸版に注目してもらえるようになるとうれしい」と語った。
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