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超大型ディスプレイの品質を極限まで高めるマイクロLED(前編)福田昭のデバイス通信(421) 2022年度版実装技術ロードマップ(45)(1/2 ページ)

今回は発光ダイオード(LED)を画素とする超大型ディスプレイ(超大型スクリーン)の概要を紹介する。

» 2023年09月21日 11時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]

三原色のLEDが100インチを超えるフルカラーディスプレイを実現

 電子情報技術産業協会(JEITA)が3年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)を2022年7月に発行した。本コラムではロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、ロードマップの概要を本コラムの第377回からシリーズで紹介してきた。

 本コラムの第418回から、第2章第6節(2.6)「新技術・新材料・新市場」の概要を説明している。同回と続く第419回は、最初のテーマである「2.6.2 エネルギー」の内容を簡単に紹介した。前回からは、2番目のテーマである「2.6.3 次世代ディスプレイデバイス」の概要を解説している。前回はディスプレイデバイスの基本的な事柄を簡単に説明した。今回は発光ダイオード(LED)を画素とする超大型ディスプレイ(超大型スクリーン)の概要を紹介する。実装ロードマップ本体の目次では、「2.6.3.2 超大型ディスプレイ(LEDビデオウォール)」に相当する部分である。

第2章第6節第3項「次世代ディスプレイデバイス」の主な目次。実装技術ロードマップ本体(書籍)から筆者が作成した

パッケージLEDとミニLED、マイクロLEDの違い

 LEDを画素とする大型ディスプレイ(「LEDビデオウォール」とも呼ぶ)は基本的に業務用であり、カスタマイズされた一品物であることが多い。設置場所は、球技場(野球、サッカー、ラグビーなど)や展示会(見本市)のブース、企業のプレゼンテーション施設や大会議室、文化施設(博物館や歴史資料館など)などである。大きさ(対角線寸法)は約100インチ(2.54m)から約400インチ(10.16m)とかなり違う。

 光源であるLEDは、赤色(R)を発光するダイオード、緑色(G)を発光するダイオード、青色(B)を発光するダイオードで1つの画素(ピクセル)を構成する。RGBは光の三原色であり、これら3種類のLEDによって広い発色範囲を確保する。

 最も安価なディスプレイ用LEDは、3種類のLEDをならべて1つの透明樹脂パッケージに封止した「パッケージLED」である。LEDチップ(RGB3色全体)の大きさは200μm角〜1mm角とかなり小さい。最短で画素ピッチが1.25mm(約20画素/インチ)の高密度なディスプレイを作れる。

 パッケージLEDの弱点は、光が樹脂を通過するときに散乱が発生することにある。散乱によってコントラスト比が下がってしまう。またパッケージの厚みがそれなりに存在する。そこで樹脂封止せずに、RGB3色のLEDチップを直接、パネル基板に搭載する薄型化技術が開発された。

 樹脂封止を省いたディスプレイ用LEDには大別すると、「ミニLED」と「マイクロLED」がある。両者の区別は外形寸法(大きさ)によるものと、基板の有無によるものがある。「ミニLED」の外形寸法は100μm角〜200μm角と、パッケージLEDに比べるとかなり小さい。ミニLEDを形成するウエハーはサファイアウエハーが一般的である。ウエハーがLEDダイの基板(サファイア基板)となる。

 「マイクロLED」の外形寸法は100μm角〜50μm角とさらに小さい。LEDを形成するウエハーにはミニLEDと同じくサファイアウエハーを使う。ただしマイクロLEDは通常、LEDダイをウエハーからはく離してキャリアウエハー(デバイスを取り扱いやすくするためのキャリア)に載せる。キャリアウエハーへの接着にはフィルム状の接着材を使う。

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