後編となる今回は、最も小さなディスプレイ用LEDである「マイクロLED(micro LED)」とそのディスプレイを紹介する。
ご注意
今回は前編の続きです。まず前編を読まれることを強く推奨します。
前編(前回)では、第2章第6節第3項(2.6.3)「次世代ディスプレイデバイス」の第2目「2.6.3.2 超大型ディスプレイ(LEDビデオウォール)」の概要を簡単に解説した。発光ダイオード(LED)を光源とするディスプレイの原理と、ディスプレイ用LEDには大きさの異なる3種類のLEDがあることを説明した。後編(今回)は、最も小さなディスプレイ用LEDである「マイクロLED(micro LED)」とそのディスプレイをご紹介する。
前編で説明したように、「マイクロLED」は外形寸法が100μm角〜50μm角と極めて小さい。画素ピッチが1.27mmのディスプレイパネル、言い換えると画素(正方形)の大きさが1.27mm角のパネルを想定した場合に、大きさが50μm角のマイクロLEDが占める面積は0.0025mm2にすぎない。画素の面積は1.613mm2なので、マイクロLEDが画素全体に占める比率は0.155%とごくわずかである。画素全体の99%以上は非発光領域であり、常に「黒色」となる。
従来方式のLEDビデオウォールに使われてきた「パッケージLED」は大きさが1mm角以上ある。同じく1.27mm角の画素を想定すると、1mm角のパッケージLEDが占める比率は79%とかなりの大きさになる。黒色の非発光領域は21%しかない。画素ピッチを1.5mm、画素面積を2.25mm2と大きくしても、パッケージLEDが占める比率は44%、非発光領域が占める比率は56%と黒色領域は半分強にとどまる。
この「常に黒色」領域の占める比率は、パネルのコントラスト比に大きな影響を及ぼす。例えば「常に黒色」領域が30%〜40%のパッケージLEDディスプレイに比べると、「常に黒色」領域が99%を超えるマイクロLEDディスプレイのコントラスト比は、30倍〜50倍(およそ100万対1)に達する。
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