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大型ディスプレイの品質を極限まで高めるマイクロLED(後編)福田昭のデバイス通信(422) 2022年度版実装技術ロードマップ(46)(1/2 ページ)

後編となる今回は、最も小さなディスプレイ用LEDである「マイクロLED(micro LED)」とそのディスプレイを紹介する。

» 2023年09月25日 11時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]

ご注意
 今回は前編の続きです。まず前編を読まれることを強く推奨します。


LEDの超小型化によってパネルに占める「黒」の割合を増やす

 前編(前回)では、第2章第6節第3項(2.6.3)「次世代ディスプレイデバイス」の第2目「2.6.3.2 超大型ディスプレイ(LEDビデオウォール)」の概要を簡単に解説した。発光ダイオード(LED)を光源とするディスプレイの原理と、ディスプレイ用LEDには大きさの異なる3種類のLEDがあることを説明した。後編(今回)は、最も小さなディスプレイ用LEDである「マイクロLED(micro LED)」とそのディスプレイをご紹介する。

 前編で説明したように、「マイクロLED」は外形寸法が100μm角〜50μm角と極めて小さい。画素ピッチが1.27mmのディスプレイパネル、言い換えると画素(正方形)の大きさが1.27mm角のパネルを想定した場合に、大きさが50μm角のマイクロLEDが占める面積は0.0025mm2にすぎない。画素の面積は1.613mm2なので、マイクロLEDが画素全体に占める比率は0.155%とごくわずかである。画素全体の99%以上は非発光領域であり、常に「黒色」となる。

画素(ピクセル)寸法が1.27mm角のディスプレイパネルに占める「常に黒色」領域の割合は99%を超える 画素(ピクセル)寸法が1.27mm角のディスプレイパネルに占める「常に黒色」領域の割合は99%を超える。マイクロLEDの面積が約0.003mm2の場合[クリックで拡大] 出所:ソニーのCrystal LED Display Systemに関する公表資料(この図面は実装技術ロードマップ本体には掲載されていない)

 従来方式のLEDビデオウォールに使われてきた「パッケージLED」は大きさが1mm角以上ある。同じく1.27mm角の画素を想定すると、1mm角のパッケージLEDが占める比率は79%とかなりの大きさになる。黒色の非発光領域は21%しかない。画素ピッチを1.5mm、画素面積を2.25mm2と大きくしても、パッケージLEDが占める比率は44%、非発光領域が占める比率は56%と黒色領域は半分強にとどまる。

 この「常に黒色」領域の占める比率は、パネルのコントラスト比に大きな影響を及ぼす。例えば「常に黒色」領域が30%〜40%のパッケージLEDディスプレイに比べると、「常に黒色」領域が99%を超えるマイクロLEDディスプレイのコントラスト比は、30倍〜50倍(およそ100万対1)に達する。

表面実装(SMT)型パッケージLEDパネル(左)とマイクロLED(Ultrafine LED)パネル(右)の非発光領域比率(黒占有率)とコントラスト比の違い 表面実装(SMT)型パッケージLEDパネル(左)とマイクロLED(Ultrafine LED)パネル(右)の非発光領域比率(黒占有率)とコントラスト比の違い[クリックで拡大] 出所:ソニーのCrystal LED Display Systemに関する公表資料(この図面は実装技術ロードマップ本体には掲載されていない)
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