マイクロLEDディスプレイは、複数のパネルを接続するときに継ぎ目がない、あるいは鑑賞者からは継ぎ目が見えない。このため、複数のパネルを組みわせることによって継ぎ目が見えない大型ディスプレイを設計できる。
マイクロLEDディスプレイの代表的な実用例であるソニーの「Crystal LED Display」では、LEDチップを搭載した画素のピッチが、「セル」と呼ぶハガキ大のサブパネル同士を接続するときでも隣接するサブパネル間で変わらない。サブパネルを接続したパネル(「ユニット」あるいは「キャビネット」とも呼ぶ)同士の接続でも隣接するパネル間で画素ピッチを維持する。パネル(キャビネット)を所望の形状にレイアウトすることで、大きさや形状の異なるディスプレイを構築できる。ただし画素ピッチが決まっているので、ディスプレイの解像度が大きさを決める点は留意されたい。
ソニーの「Crystal LED Display」では現在、横長形状のパネル(例えば横610mm×高さ343mm×奥行き69mm)を組み合わせる大型ディスプレイシステムを主に提供している。フルハイビジョンディスプレイ(FHD:1920×1080画素)を構築するときは、横長形状のパネル(画素ピッチ1.27mm:水平480画素×垂直270画素の場合)を横方向に4枚と縦方向に4枚の合計16枚を必要とする。ディスプレイの対角線寸法は110インチ、外形寸法は横2.4m×縦1.4mとなる。
4Kディスプレイ(3840×2160画素)を構築する場合は、パネルの枚数は縦横とも2倍の8枚×8枚で合計64枚のパネルを必要とする。ディスプレイの対角線寸法は220インチ、外形寸法は横4.9m×縦2.7mとなる。寸法はFHDの2倍、パネル枚数はFHDの4倍(画素数も4倍)にスケーリング(拡大)されていることが分かる。
そして8Kディスプレイ(7680×4320画素)を構築する場合はパネルの枚数が縦横とも16枚で合計256枚を必要とする。ディスプレイの対角線寸法は440インチ、外形寸法は横9.8m×縦5.5mとなる。
(次回に続く)
⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.