2020年に一時的に世界最大のスマートフォンメーカーの座を獲得したHuaweiは、米国の技術規制に対抗してきた。同社は、SMICの7nm技術で製造した「Kirin 9000s」チップを搭載したスマホを3機種発表し、再び5Gスマホ市場に参入している。
Albright Stonebridge Groupで技術企業のアドバイザーを務めているPaul Triolo氏によると、新型スマホの製造台数から、SMICの新しいプロセスノードの歩留まりが、一部で推測されていた10%よりもはるかに高いことが分かるという。
同氏はEE Timesの取材に応じ、「中国の業界情報筋によると、SMICの歩留まりは70%台で、さらに向上しているという。このような種類の取り組みでは、既存の装置を当初の目的の枠を超えて推進していくのは普通のことだ」と述べている。
さらにTriolo氏は、「SMICとHuaweiが5nmプロセスで一部のレイヤーを超える最先端ノードに達するためのロードマップには、限りがある」と付け加えた。
Semiconductor AdvisersのプレジデントであるRobert Maire氏は、EE Timesに提供したニュースレターの中で、「SMICが7nmプロセスでマルチパターニングを実現したことを考えると、5nmプロセスでも実現できる可能性は高い」と述べている。
Maire氏は、「SMICは、EUV禁止措置をうまく回避できることを明確に証明した。現在もApplied MaterialsやLam Research、KLAなどのさまざまな企業が、圧倒的な成長を遂げている最大市場である中国に向けて、膨大な数の装置を出荷している」と述べる。
EE Timesが2023年9月にインタビューを行った情報筋の中で、SMICの5nmチップの開発時期を推測していたのは、唯一Maire氏だけだった。
同氏は、「(SMICの5nmチップの開発時期は)この先1〜3年の間ではないだろうか。もしSMICが現在のペースを維持するなら、約2年で実現できるだろう」と予測する。
SMICは2022年第1四半期、プロセスノードごとの技術概要の公表を中止した。
Thurston氏は、「SMICは、TSMCの従業員を250人ほど引き抜き、2009年の訴訟でTSMCに敗訴してからは、従来よりも控えめな態度をとり、中国の技術や米国の規制が及んでいない海外のサプライヤーを頼ることで、製造を強化してきた」と述べる。
また同氏は、「SMICに対する米商務省(DoC)の規制は効果がない。欧州やイスラエルなどのさまざまな企業は、米国からの要望に100%従っている訳ではないのだ」と付け加える。
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