キヤノンは、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術を用いた半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」を発売した。最小線幅14nmのパターン形成が可能で、マスクを改良すれば最小線幅10nmレベルにも対応できるという。
キヤノンは2023年10月、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術を用いた半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」を発売した。最小線幅14nmのパターン形成が可能で、マスクを改良すれば最小線幅10nmレベルにも対応できるという。
NIL技術を用いた半導体製造装置は、回路パターンが刻み込まれたマスクを、ウエハー上のレジストに押し付けて回路パターンを形成する。従来の投影露光装置では多数のレンズを介して光を照射し、回路パターンをレジストに焼き付けていたが、NIL技術を用いると投影用の光学系が不要になるという。
新製品は、インクジェットプリンターで培ったインク吐出技術を応用した。これにより、回路パターンに合わせ、レジストを適量かつ正確な位置に塗布できる。その後、レジストが塗布されたウエハーに合わせ、正しい位置でハンコのようにマスクを押し付け露光する。複雑な二次元、三次元の回路パターンを1回のインプリントで形成できるという。
また、1nm以下の精度で位置を計測しマスクとウエハーを重ね合わせる位置制御技術や、微小な粒子のゴミを除去する環境制御技術などを採用している。パターン形成時の消費電力も、従来の投影露光装置に比べ、約10分の1まで削減できるという。
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