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それでもスマホの技術進化は続いている、「iPhone 15 Pro Max」「Mate 60 Pro」を分解この10年で起こったこと、次の10年で起こること(77)(3/4 ページ)

» 2023年10月23日 11時30分 公開

プロセッサ「A17 Pro」を解析

 図4には、iPhone15 Pro Maxで採用されている代表的な2つのApple製チップを掲載した。他にもApple製のチップは多数搭載されている。左はA17 Proで、TSMCの3nm世代プロセスで製造されているプロセッサだ。プロセッサを取り出し配線層を剥離して、内部の機能/回路が見える写真を撮影しているが本稿では省略する。

図4:「A17 Pro」とPMIC(パワーマネジメントIC)[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 現在、前世代のチップ「A16 BIONIC」との比較などを行っており、4nmと3nmの差などを明確にしているところである。結果は、近日テカナリエレポートで報告する予定だ。プロセッサ上にはシリコン型名が配線層で書かれている。A17 Proのシリコン型名は「TMQG36」であった。

 A17 Proのプロセッサ上には、図4左下に示した通り、小さなシリコンがトータルで9個搭載されている。これらは特性を改善するためのシリコンキャパシターである。演算器の真上に設置することで、最大限の効果を発揮する。実際にはInFOに埋め込まれており、テカナリエレポートではInFOの拡大写真や測長結果なども掲載している。テカナリエレポートは有償だが、ぜひご覧いただきたい。

 図4右は、プロセッサと対で使われる電源ICの様子である。Appleは過去3年、自社開発の電源を活用していて、iPhone 15シリーズでもApple製電源ICのみが使われている。DC-DCなどの回路が統合されたものなので、最先端プロセスが適用されるわけではなく、レガシープロセスで製造されている。シリコン型名は「TMPB06」だ。

5GモデムチップはQualcomm製

 図5は、iPhone15 Pro Maxで採用されている5G(第5世代移動通信)モデムチップを開封した様子である。Qualcommの5Gモデムチップセットが採用されている。実際にはモデムチップ、トランシーバーチップ2個、電源IC、「Envelope Tracking」など多くのQualcommチップが採用されている。モデムチップ「SDX70M」は新規に採用された最新モデムである。5nmプロセスで製造されるモデムベースバンドプロセッサと、2個のSamsung製のLPDDR4Xシリコンで構成されている。

図5:5Gモデムの詳細[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

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