ワイヤレスオーディオやコネクテッドコンシューマーエレクトロニクスに加え、ここ最近は産業向けにも注力してきたとKolderup氏は説明する。ビルの照明制御システム、物流倉庫などでの資産追跡、店舗で使われる電子棚札(ESL:Electric Shelf Label)システムなどで、Bluetoothの活用が進む。
「2023年において、産業分野向けのBluetooth搭載機器の出荷台数は、2億台以上と予想している。ワイヤレスオーディオやコネクテッドコンシューマーエレクトロニクスに比べれば少ないが、最近のBluetooth技術の進化は、むしろ産業向けで歓迎されるようなものだった」(Kolderup氏)
一例としてBluetooth 4.0では、新しいトポロジーとしてメッシュネットワークを採用。この「Bluetooth mesh」によって、BA(ビルディングオートメーション)や資産追跡などに、Bluetoothのアプリケーションが広がった。Bluetooth 5.1では、信号の受信角度であるAoA(Angle of Arrival)、放射角度であるAoD(Angle of Departure)を活用した方向検知機能が使えるようになった。特に屋内で高精度に位置測位ができることから、さまざまな分野の位置情報サービスで活用されるようになっている。2023年2月に発表された最新バージョンのBluetooth 5.4では、双方向通信が可能な新しい通信方式「PAwR(Periodic Advertising with Responses)」が導入された。これにより、店舗などで1台の端末と多数のESLが双方向で通信する、といった使い方ができるようになる。
Kolderup氏は、今後の技術進化の方向性も示した。Kolderup氏は、測位精度の向上、データスループットの向上、高周波数帯への対応を挙げた。
測位については、現在は「20mの距離で±20cm測位できる」精度なので、今後はさらに精度を上げていく。この高精度測位に対応した規格は2024年前半にリリースされる予定だ。
Bluetooth Low Energy(BLE)では、データスループットの向上と高周波数帯への対応を予定している。現在、BLEの通信速度は最大2Mビット/秒(bps)だが、4倍となる最大8Mbpsに引き上げる。これは2.4GHz帯をベースにした技術だが、さらなる高速化、低遅延に向けて5GHz/6GHz帯への対応を進める。Kolderup氏は、高周波数帯への対応は「Bluetoothの次の25年を支える技術だ」と語った。
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