異なる磁性元素を含む7個の新しい超伝導体を発見:鉄を含む物質は4.7Kで超伝導に
東京大学物性研究所らによる研究チームは、異なる磁性元素を含む7個の新しい超伝導体を発見した。
東京大学物性研究所らによる研究チームは2023年9月、異なる磁性元素を含む7個の新しい超伝導体を発見したと発表した。
強い磁性が働くと超伝導は壊されるため、鉄などの磁性元素を含む物質において、超伝導が現れることは極めて少ないという。ところが、磁性元素を含む物質でも、高温における超伝導や変わった性質をもつ超伝導が現れることも、まれにあるという。ただ、超伝導と磁性の関係性について、十分に解明されてはいない。
研究チームは今回、スカンジウム(Sc)やテルル(Te)と、ある磁性元素(M)からなる物質「Sc6MTe2」が、超伝導となることを発見した。実験では鉄やコバルト、ニッケルなど7種類の磁性元素で、超伝導となることを確認した。ただ、超伝導の性質は、磁性元素の種類によって変化する。例えば鉄の場合、4.7Kで超伝導が現れた。これは、確認した磁性元素の中で最も高い温度だという。
Sc6FeTe2の結晶構造(左)と、Sc6FeTe2の電気抵抗率およびアーク溶融法で合成された多結晶試料(右)[クリックで拡大] 出所:東京大学
今回の研究は、東京大学物性研究所の岡本佳比古教授や名古屋大学大学院工学研究科の篠田祐作大学院生(研究当時)、平井大悟郎准教授、竹中康司教授の研究グループと、東京大学大学院新領域創成科学研究科の松本遥大学院生、名古屋大学大学院理学研究科の山川洋一講師らが協力して行った。
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