東京大学は、溶媒内で超音波処理を行い、わずか1分という短い時間でサブナノ厚の2次元(2D)半導体単層を選択的に単離することに成功した。単離した単層を用い、多数の電極を有する単層デバイスの作製も可能である。
東京大学大学院総合文化研究科の桐谷乃輔准教授(研究開始当時は大阪公立大学)と中本竜弥特別研究学生(研究当時)は2024年1月、溶媒内で超音波処理を行い、わずか1分という短い時間でサブナノ厚の2次元(2D)半導体単層を選択的に単離することに成功したと発表した。単離した単層を用い、多数の電極を有する単層デバイスの作製も可能である。
2D半導体は、厚みが約0.7nmという単層であっても半導体として機能することから、次世代デバイスの有力な材料候補として注目されている。これまでは、接着テープに貼り付けた2D半導体結晶に対して剥離を繰り返し、薄くした後に基板上へと転写する「剥離法」を用いてきた。しかしこの方法だと、単層と同時に厚みの99%を占めるバルク結晶も基板上に転写されていた。このバルクは不要なうえ、デバイス設計の自由度を大きく低下させていたという。
研究チームは今回、溶媒内で超音波処理を用い、単層の結晶を単離する手法を開発した。この手法を用いると、MoS2などさまざまな遷移金属カルコゲナイドの結晶について、短い時間で基板上に単離することが可能となる。その理由として、「単層とバルク結晶における面内断裂強度の違い」を挙げた。
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