大阪大学と中央大学の研究グループは、長波長赤外光を含む広帯域光を検出でき、柔軟性も備えた「シート型光センサー」を開発した。
大阪大学産業科学研究所の川端玲氏と荒木徹平准教授、関谷毅教授および、中央大学理工学部の李恒助教と河野行雄教授らによる研究グループは2024年1月、長波長赤外光を含む広帯域光を検出でき、柔軟性も備えた「シート型光センサー」を開発したと発表した。
開発したシート型光センサーは、厚みが5μm以下の有機基板にカーボンナノチューブ光検出器と有機トランジスタをアレイ集積している。カーボンナノチューブ光検出器は、可視光からテラヘルツまでの広帯域光を検出することが可能である。厚みが500μm以上の基板上に形成された従来の光検出器と比べ、出力電圧は約21倍に、応答速度は15倍以上にそれぞれ向上した。
同じ基板上に形成された有機トランジスタアレイは、チャネル直上に遮光層を設けた。これによって、光照射下での動作も、基本特性とスイッチング機能は安定している。シート型光センサーの柔軟性については、曲げ半径1mm以下で1000回変形させても、安定した特性であることを確認した。
研究グループは、試作したシート型光センサーを用い、長波長の赤外検出を活用した熱イメージングや液質検査などに適用できることを実証した。薄型、軽量で柔軟性に優れているため、生体代謝物や体温、脈波といった複数機能を非侵襲モニタリングするウェアラブルセンサーなどへの応用が期待される。
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