NECと日立製作所が保有するルネサス エレクトロニクス株を全て売却する。2024年1月30日に、証券会社を通じて海外の機関投資家などに売却する。
NECは2024年1月25日、保有するルネサス エレクトロニクス株を全て売却すると発表した。同月30日、保有するルネサス株6988万8800株を、証券会社を通じて海外の機関投資家などに売却する。日立製作所も同様に保有する全ルネサス株を売却すると、同社広報が認めた。
NEC※)のルネサス株の保有割合は2023年12月末時点で3.93%(6988万8857株)、日立製作所は3.48%(6199万548株)だ。NECは売却の目的について、同社が2020年4月に策定した政策保有株式を原則ゼロとするガイドラインに基づく政策保有株式の縮減の一環と説明。同社が保有するルネサス株は、2023年3月末時点で同社が保有する政策保有株式の時価の約5割(1373億円)を占めていた。
※NEC退職給付信託口の日本カストディ銀行保有分
売却価格については、NECは1株につき2503.0円で、売却価格の総額は1749億円(NECの2024年1月26日付リリース)。日立製作所については「現在精査中」(広報)とする。ルネサス株の1月25日終値は1株2689.5円だった。
日立製作所は2024年1月26日、保有するルネサス株の売却に伴い、2024年3月期の個別決算における特別利益として、売却益1159億円を計上すると発表した。※)なお、日立製作所は、ルネサス株について国際財務報告基準(IFRS)の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」に分類しているため、2024年3月期連結業績予想には影響がないとしている。
※)2024年1月26日午後6時追記
ルネサスは、NECから分社化したNECエレクトロニクスと日立製作所、三菱電機の半導体事業が分社化/統合したルネサス テクノロジが2010年4月に統合して発足。旧親会社の3社は当初ルネサス株の91.1%(NECが33.97%、日立製作所が30.62%、三菱電機が25.05%)を保有していた。
ルネサスは業績の悪化から2013年9月、INCJ(旧産業革新機構)などを割当先とする第三者割当増資を実施し、INCJが69.1%の株式を取得し実質国有化。3社の比率は22.8%にまで低下した。さらにその後、数度にわたる株式の売り出しや、新株式の発行および自己株式の取得などを経て2022年12月末の段階ではINCJは12.4%、旧親会社の3社は10.3%(日立製作所が3.4%、NECが4.0%)になっていた。
INCJは2023年にも複数回にわたってルネサス株の売り出しをしていて、同年11月には保有するルネサス株の全株式(単元未満株である75株を除く)の売却を完了している。
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