弘前大学の研究グループは、リチウム資源の採取および回収に向けた「電気化学ポンピングシステム技術」を開発した。使用済みリチウムイオン電池などから、高純度のリチウムを高速に回収することが可能となる。
弘前大学大学院理工学研究科の佐々木一哉教授(弘前大学リチウム資源総合研究機構兼任)と弘前大学リチウム資源総合研究機構の新村潔人助教らによる研究グループは2024年2月、リチウム資源の採取および回収に向けた「電気化学ポンピングシステム技術」を開発したと発表した。使用済みリチウムイオン電池などから、高純度のリチウムを高速に回収することが可能になる。
研究グループが考案した電気化学ポンピング技術は、2つの外部電源と3つの電極および、リチウムイオン伝導性固体電解質隔膜で構成される。実験では、アノード側の浴に塩湖水や廃LIBsを溶かした水溶液を入れ、電位や濃度の違い(電気化学ポテンシャル差)を利用して、カソード側にリチウムイオンを移動させ回収した。電解質隔膜の両側表面に形成された2つの電極(第1と第2)ではO2ガスが、もう1つの電極(第3)では、H2ガスがそれぞれ発生するため、これらのガスを供給することも可能だという。
開発した技術を用いると、従来の類似した技術に比べ464倍の速度で、不純物イオンを全く含まない高純度のリチウムを回収できるという。このため、EV用リチウムイオン電池や、核融合発電に向けたリチウム資源を、効率よく回収することが可能になる。
研究グループでは既に、欧州電池規則によるリチウム資源リサイクル義務へ対応するため、電気化学ポンピング技術の実用化研究を始めている。
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