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全固体Liイオン二次電池用固体電解質を高速合成総合成時間は3日から7.5時間へ

豊橋技術科学大学は、全固体リチウムイオン二次電池用の固体電解質「Li10GeP2S12」について、その合成時間を大幅短縮することに成功した。これまで3日間要していた総合成時間を7.5時間とした。合成した固体電解質はイオン伝導性も高いという。

» 2023年10月05日 10時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

合成した固体電解質のイオン伝導性は1.6mS/cm(25℃)

 豊橋技術科学大学電気・電子情報工学専攻の小川海斗氏(当時博士前期課程)、蒲生浩忠氏(当時博士後期課程)、草場育代研究員、引間和浩助教、松田厚範教授らの研究グループは2023年10月、全固体リチウムイオン二次電池用の固体電解質「Li10GeP2S12」について、その合成時間を大幅短縮することに成功したと発表した。これまで3日間要していた総合成時間を7.5時間とした。合成した固体電解質はイオン伝導性も高いという。

 Li10GeP2S12は、高いイオン伝導性を示すことから、全固体電池用固体電解質として注目されている。ところが従来の液相合成方法では、中間体の不溶性Li3PS4の形成が反応速度を決めることから、長い反応時間を要していたという。

 こうした中で研究グループは、可溶化剤として過剰な硫黄、有機溶媒としてアセトニトリル(ACN)とテトラヒドロフラン(THF)、微量のエタノール(EtOH)を用いた混合溶媒を用い、「Li7P3S11」や「Li6PS5Cl」などを短時間で合成する方法を、これまで開発してきた。

 今回は、この液相合成手法を応用し、過剰の硫黄とACN-THF-EtOH混合溶媒を用いることで、Li10GeP2S12の短時間合成に成功した。反応メカニズムを解明するため、紫外可視(UV-Vis)分光法により前駆体溶液の状態を調べた。この結果、「S42-」「S62-」「S3・-」などの多硫化リチウムが形成されていることが分かった。

 具体的な反応ステップはこうだ。まず、LiイオンがEtOHと強く配位し、多硫化物イオンがLiイオンから遮蔽される。これによって、ラジカルアニオン「S3・-」が安定する。S3・-がP2S5やGeS2を攻撃することによってP2S5のケージ構造が開裂、GeS2の結合が切断され反応が進行する。この反応によって、形成されたチオリン酸リチウムは、ACNとTHFの混合溶媒中に溶解し、極めて短い時間で均一な前駆体溶液が得られたと分析している。

 なお、総合成時間7.5時間で得られたLi10GeP2S12のイオン伝導性は、1.6mS(ミリジーメンス)/cm(25℃)であった。

今回用いたLi10GeP2S12の反応プロセス[クリックで拡大]出所:豊橋技術科学大学

 研究グループは今後、Li10GeP2S12以外の高イオン伝導性硫化物固体電解質の合成にも取り組む予定である。

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