ニデックの23年度決算は増収増益も、車載事業は大幅赤字 : 岸田新社長が決算発表会に初登場 (2/2 ページ)
2024年度(2025年3月期)通期の業績予想は、売上高が2兆4000億円、営業利益が2300億円、純利益が1650億円だ。岸田氏は「2023年度通期決算は増収増益だったものの、トラクションモーター(車載)事業においては大幅な赤字となった。今後、同じ失敗を繰り返さないことと、失った信頼を回復していくことが最重要だ。そのために、足元のリスクを考慮した堅実な目標を設定した。公言した目標は必ず達成させる」と語った。
2025年3月期(2024年度)通期業績予想[クリックで拡大] 出所:ニデック
事業別の戦略では、車載事業は、2024年度に見込まれる新車種の展開やバイワイヤ技術の発展による車載モーターの需要増を追い風に、2024年度からの着実な収益改善を実現する。特に、トラクションモーター事業については、合弁を組む広州汽車および、広州汽車が合弁を組んでいる日系企業に向けた商品開発/展開を行う方針だ。
左=バイワイヤ技術に関する概要/右=2024年度のトラクションモーター事業の戦略[クリックで拡大] 出所:ニデック
精密小型モーター事業では、水冷モジュールの生産/供給力を強化する。水冷モジュールは、熱の発生量が多いAI(人工知能)向けGPU/CPU冷却用途として今後も高い需要が見込まれる。ニデックは、タイ工場におけるCDU(Coolant Distribution Unit)の生産ラインを増強し、生産キャパシティーを現在の月産200台から、2024年6月までに月産2000台に拡大。将来的には月産3000台を目指すという。
水冷モジュールの事業戦略[クリックで拡大] 出所:ニデック
岸田氏は、今後の事業戦略について「既存事業に関しては、収益性を重視し、事業効率化を進めていく。中長期成長に向けては、M&Aを通じた技術獲得も積極的に検討する。M&Aの状況も見ながら、インドへの工場展開などの設備投資や新技術への研究開発投資を積極的かつ継続的に行う」と述べた。
また、同氏は、2024年度から連結決算に加わるニデックと欧州Stellantis(旧PSA)の合弁会社「NPe(Nidec PSA emotors)」についても触れ、「パートナーであるStellantisとは、NPeにおける技術開発戦略や販売戦略について明確な共通認識を持っている。両親会社の知恵を出し合いながら、NPeの成功に向けて取り組んでいく」と語った。
なお、2024年度第1四半期の決算発表時には、中期戦略目標「Vision 2025」の後継となる2030年度までの中期戦略目標を発表する予定だ。
ニデック、ルネサスとの協業で次世代E-Axleの勝機を狙う
ルネサス エレクトロニクスとニデックは、EV(電気自動車)向けの次世代E-Axleを実現すべく、PoC(Proof of Concept)を共同開発する。両社は2023年6月6日の記者説明会で、協業の背景について説明した。
村田製作所、23年度は減収減益 電池事業で495億円の減損損失を計上
村田製作所は2024年4月26日、2023年度通期(2023年4月〜2024年3月)の決算を発表した。売上高は前年度比2.8%減の1兆6402億円、営業利益は同27.8%減の2154億円だった。2023年10月に発表した業績予想と比較すると、売上高は予想を1.2%上回り、営業利益は予想を20.2%下回った。
HDD大手Seagateの四半期業績、前四半期比での増収増益が続く
米Seagate Technologyの2024会計年度第3四半期(2024年1〜3月期)の業績を紹介する。
ルネサス、24年1Qは予想比上振れ 車載マイコンのシェア低下も「悲観しない」
ルネサス エレクトロニクスは、2024年12月期第1四半期の業績を発表した。売上高は前年同期比2.2%減の3518億円で、営業利益は前年同期比113億円減の1135億円、営業利益率は同2.4ポイント減の32.3%だった。売上高は前年同期を下回ったものの、主に為替の影響で予想値を2.0%上回った。営業費用の減少によって、営業利益率も予想を2.3ポイント上回った。
ソシオネクストの23年度は増収増益、24年度は減収減益予想
ソシオネクストの2023年度通期(2023年4月〜2024年3月)業績は売上高が前年度比14.8%増の2212億円、営業利益は同63.6%増の355億円、純利益は同32.2%増の261億円で増収増益となった。一方、2024年度は売上高が同9.6%減の2000億円、営業利益は同24.0%減の270億円、純利益は同25.4%減の195億円で減収減益と予想している。
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