2024年度(2025年3月期)通期の業績予想は、売上高が2兆4000億円、営業利益が2300億円、純利益が1650億円だ。岸田氏は「2023年度通期決算は増収増益だったものの、トラクションモーター(車載)事業においては大幅な赤字となった。今後、同じ失敗を繰り返さないことと、失った信頼を回復していくことが最重要だ。そのために、足元のリスクを考慮した堅実な目標を設定した。公言した目標は必ず達成させる」と語った。
事業別の戦略では、車載事業は、2024年度に見込まれる新車種の展開やバイワイヤ技術の発展による車載モーターの需要増を追い風に、2024年度からの着実な収益改善を実現する。特に、トラクションモーター事業については、合弁を組む広州汽車および、広州汽車が合弁を組んでいる日系企業に向けた商品開発/展開を行う方針だ。
精密小型モーター事業では、水冷モジュールの生産/供給力を強化する。水冷モジュールは、熱の発生量が多いAI(人工知能)向けGPU/CPU冷却用途として今後も高い需要が見込まれる。ニデックは、タイ工場におけるCDU(Coolant Distribution Unit)の生産ラインを増強し、生産キャパシティーを現在の月産200台から、2024年6月までに月産2000台に拡大。将来的には月産3000台を目指すという。
岸田氏は、今後の事業戦略について「既存事業に関しては、収益性を重視し、事業効率化を進めていく。中長期成長に向けては、M&Aを通じた技術獲得も積極的に検討する。M&Aの状況も見ながら、インドへの工場展開などの設備投資や新技術への研究開発投資を積極的かつ継続的に行う」と述べた。
また、同氏は、2024年度から連結決算に加わるニデックと欧州Stellantis(旧PSA)の合弁会社「NPe(Nidec PSA emotors)」についても触れ、「パートナーであるStellantisとは、NPeにおける技術開発戦略や販売戦略について明確な共通認識を持っている。両親会社の知恵を出し合いながら、NPeの成功に向けて取り組んでいく」と語った。
なお、2024年度第1四半期の決算発表時には、中期戦略目標「Vision 2025」の後継となる2030年度までの中期戦略目標を発表する予定だ。
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